Netflix、スマホゲームをヨーロッパで配信開始。映画『ケイト』のゲーム版もSteamに

Netflix、スマホゲームをヨーロッパで配信

 2020年の「コロナ特需」で大きく成長したNetflixは、2021年以降の成長戦略としてゲーム事業を掲げている。その試みが、ヨーロッパから具体化されつつある。オリジナル映画のゲーム化も進行しており、同社のゲーム事業が本格化しそうだ。

新たな「ゲーム」タブを実装

 US版TechCrunchは28日、Netflixがイタリア、スペイン、ポーランドのNetflix会員に対して3つのAndroid対応スマホゲームの配信を開始したことを報じた。ポーランドに関しては8月末に同社オリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』をベースにしたゲームである『Stranger Things: 1984』と『Stranger Things 3』が配信済みであり、イタリアとスペインは新しい3本のゲームに加えて『ストレンジャー・シングス』関連ゲームも同時に配信される。

 今回配信される新作ゲーム『Shooting Hoops』、『Teeter Up』、そして『CardBlast』はNetflixオリジナル動画をベースにしたものではなく、カジュアルゲーマーをターゲットとしたシンプルなものとなっている。これらのゲームをプレイするには、Netflixアプリに新たに実装された「ゲーム」タブをタップ後、Google Play Storeに移動してダウンロードする必要がある(トップ画像と以下のツイートを参照)。ゲームアプリをダウンロードしてプレイを始めると、はじめにNetflixに登録したユーザ名とパスワードの入力が求められる。

 Netflix配信の新作ゲームはNetflix会員であれば追加料金なしでプレイできるうえに、ゲーム内広告やアプリ内購入もない。こうしたゲームの内容から、少なくとも現時点では同社はゲームによって直接的に収益を得ることではなく、同社のゲームコンテンツに親しんでもらうことを目指していることがわかる。

 Netflixのコメントによると、将来のある時点でアメリカを含む世界各地でゲーム事業を展開することを計画しており、iOSでのゲーム配信も開始する、とのこと。もっとも、ゲーム事業世界展開の具体的なスケジュールは未定だ。

インディーズゲームスタジオを買収

 Netflixはゲーム開発体制の整備も進めている。同社は28日、インディーズゲームスタジオのNight School Studioを買収したことを同社ブログで発表した。同スタジオ初のゲームとして2016年にリリースされたアドベンチャーゲーム『OXENFREE』は高い評価を受け、同年の複数のゲーム賞にノミネートされた。

 以上のNetflixのブログ記事によると、今後のゲーム事業の方向性として「Netflixのメンバーは、ドラマや映画に加え、追加料金なしでゲームもお楽しみいただけるようになります。もちろん広告やアプリ内購入はありません」と説明している。

 買収を報告したNight School Studioのブログ記事では「Netflixチームは、スタジオ文化とクリエイティブなビジョンを保護するために細心の注意を払っています。OXENFREE II(『OXENFREE』の続編ゲーム)を作り続けていきます」と述べられており、買収後もある程度の独立性が保たれることがわかる。

 以上の買収を報じたエンタメ系メディア『DEADLINE』の28日付の記事によると、今回の買収は企業買収をあまりしないことで有名なNetflixの数少ない事例である、とのこと。もっとも、同社は9月22日には映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作者である児童文学作家のロアルド・ダールの諸作品に関する権利取得のために7億ドル(約780億円)以上を支払っており、潤沢な資金があることがうかがえる。

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