AdobeCPOが“2021年のテックトレンド”を予見 「クリエイティビティ」が主人公の一年に?

AdobeCPOが予見する“2021年のテックトレンド”

 新型コロナウイルスの蔓延、自然災害、アメリカ大統領選挙に代表される政権交代と、世界中であらゆる出来事が相次いだ2020年は、テクノロジーにとっても大きな一年であった。

 これらの世界的事象に対応すべくZoomなどのWeb会議サービスの急成長、TikTok、Instagram、YouTubeなどのオンラインメディア媒体のコンテンツの増加、リモート診断などの様々なオンライン医療システムサービスの展開など2020年ならではのテックトレンドが見られ、大学やあらゆる教育機関、会社のリモート化でオンラインソフトウェアのマーケットも急成長を遂げている。

 また、同時に多くのアーティストや個人がロックダウンせざるを得なかったこの一年は、これらのクリエイティブ活動に拍車をかけた。自宅での音楽制作からイラストや動画作成など、あらゆる媒体のメディアで多種多様なアマチュアからプロまでのアーティストたちが様々な作品を発表したからだ。

 そんな中、先日グラフィックデザイン関連や画像処理のソフトウェアを提供するAdobeは、昨年から14%の収益増加と47%の株価増を発表。第四半期の増加は主にデジタルメディア製品のクラウドサービス提供によるもので、年間増加率の20%を占める。Adobeの最高製品責任者のScott Belskyは、Adobe内クリエイティブ用ソーシャルサービス「Behance」の創設者であり、Adobeのクリエイティブ文化に大きな影響をもたらした人物。彼は、「2021年のトレンドの多くは、クリエイティビティプロセスを強化し向上させるサービスが大きな可能性を秘めている」と話す。ここでは、彼の話す2021年のトレンドをいくつかピックアップして紹介したい。

サービスの分散化が可能にする新しいビジネスの可能性

 近年のビットコインやブロックチェーンの成長から見られるように“集中排除”にトレンドが移っている。“ユーザーたちが制御するタレントネットワークサービス”を謳っている「Braintrust」は、登録者たちの収入から手数料を取るのではなく、登録者たちの信用を会社の市場価値とし、ネットワークが大きくなることによって業界内での企業的信用を高め、成長へつなげるモデルとなっている。

 ほかにも、簡単にショッピングサービスを始められる「CashDrop」は、従来の売上手数料などを撤廃し、顧客が購入の際に少しのサービス料を同サービスに払う仕組みになっている。今までは当たり前だった、「ビジネスオーナーの全収益から手数料を取る仕組み」が「それぞれの顧客間との小さな手数料に変換することで手数料を分散し、個人のビジネスオーナーに権限を与えるもの」となった。これにより、もっと簡単に自分のアイディアなどを駆使したクリエイティブなビジネスの立ち上げを促し、様々なサービスやビジネスを始める良き土壌が生まれる。

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