2020.10.29 20:00

『水溜りボンドのANN0』第29回おさらい　ナイナイ、aiko、カジサック、はじめしゃちょーと“エンタメの中心地”に居合わせた二人

文＝こたにな々

はじめしゃちょーとの5年前の初共演

【トランプ】52人でババ抜きしてみた

　一方、水溜りボンドがはじめしゃちょーと初めて共演したのは、遡ること5年前。はじめしゃちょーのチャンネルで公開された『52人でババ抜きしてみた』という動画で、当時の登録者数はまだ1000人程だった水溜りボンドが、52人の中の名もなきエキストラのような立ち位置で出演していた。ちなみにそのなかでは、水溜りボンドのほか、理系YouTuberの「はなお」もブレイクを果たしている。

　この時のエピソードとして、はじめしゃちょーが動画撮影後に数時間かけて、その日来ていた全員とコラボ動画を撮影し、サインしたという“イケメンぶり”も明かされた。当時、はじめしゃちょーは水溜りボンドについて「光ったものは特には感じなかった」とシビアに見ていたようだが、「ネタがある日から急に輝きだした。頭を使うようになったと感じた」と振り返る。そして初共演から1年後には、当時のカリスマブラザーズ（現・JJコンビ、みのミュージック）とと共に、はじめしゃちょー宅でコラボ動画を撮影するまでになっている。

YouTuberを“使えていない”TV業界へ物申す

　はじめしゃちょーも水溜りボンドも、謙虚な人柄で知られるが、その二組が「カジサックさんも腰低いですよね」と口を揃える。これに対して、カジサックは「当たり前でしょ！」と答え、「（芸能界の人はYouTuberに対して）みんなどっか上からでしょ？　それが間違えてるんですよ」と語気を強めた。

　最近では地上波にYouTuberが出演することは珍しくなくなったが、「各YouTuberの特性をしっかり調べもせず、何をやったら面白く活かせるかも分かっていないのに、人気や数字だけでキャスティングするTVサイドには問題がある」とカジサック。「まだ“出させてあげてる”と思ってるところがある」と憤ったが、はじめしゃちょーが「自分を理解して使ってもらえてると楽しかった」と語るように、以前『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで！』の「サイレント図書館」という声を出してはいけないコーナーにHIKAKINがゲスト出演した際のことを挙げ、「HIKAKINさんのリアクション芸をちゃんと分かった上でキャスティングしてる」と“正しいYouTuberの使い方”を称えていた。

　そんなカジサックに、水溜りボンドの二人も絶大な信頼を寄せており、TV出演する際には共演者にカジサックがいるかどうかを毎回確認するという。以前、カジサックとTV共演した際には、自分たちの良さを出せず落ち込んだそうだが、そんなとき、カジサックが二人の魅力／能力を理解していない番組サイドに自分たちよりも怒ってくれて「泣きそうになった」というエピソードも明かされた。

　Twitter上でも、フォローしてくれたYouTuberには必ず挨拶のDMを返すという律儀なカジサック。評価されるべきは、表面的なものではなく、本質的な意味で“TVとYouTubeの架け橋”を担おうという真摯な姿勢だろう。彼が存在することで、不慣れなテレビに出演するYouTuberも、YouTubeの勝手が分からない芸能人も助けられている部分が大いにあるのではないか。

　はじめしゃちょーを見て、YouTubeを始めたと言う水溜りボンド。そして、水溜りボンドがきっかけでYouTubeを始めたカジサック。フォロワーがまたフォロワーを生み、文化を繋げる。そんなYouTubeの歴史が垣間見えた、伝説的な一夜となったのではないだろうか。