『ツイステ』の魅力はテキストにあり? 枢やなの"伏線”張り巡らされたシナリオから読み解く

『ツイステ』の魅力はテキストにあり?

枢やな氏が張り巡らせる「伏線」に気づけるか?

 「悪役たち(ヴィランズ)」の物語であるという時点で、多くのユーザーが『ツイステ』の物語は一筋縄ではいかないだろうと予想したに違いない。さらに枢やな氏のファンならば、「一筋縄でいくはずがない……!」と確信していたはずだ。

 原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを手がける枢やな氏は、『ツイステ』と並行(!)して、漫画『黒執事』(スクウェア・エニックス)を連載中である。同作はTVアニメ化・舞台化・ゲーム化といったさまざまなメディアミックスを果たす人気ぶりで、『月刊Gファンタジー』での連載は14年目に突入している。『黒執事』の魅力は多岐に渡るが、クリエイターとしての枢やな氏を語るうえで「伏線の張り方、回収の美しさ」は、とくに欠かせない要素だろう。

 また、枢やな氏の漫画家としてのキャリアが、『ツイステ』のテキストをより魅力的なものにしている点も述べておきたい。本作『ツイステ』のテキストは、地の文やモノローグなどはなく(効果音の表記はのぞく)、会話劇によって進行する。言い換えれば、セリフ回しでもってストーリーに緩急をつけ、さらにキャラクターたちを魅力的に描写しなくてはならない形式だ。どちらかといえば、小説よりも漫画のセリフ回しに求められるものに近い。

 その点、枢やな氏はセリフの切れ味も抜群で、個性の塊であるキャラクターたちを生き生きと書き分けている。そして抜群のテンポの良さでもってテキストを「読まされてしまう」ため、筆者のように一巡目では違和感に気づかず伏線を見落とすなど、枢やな氏の術中にハマるケースもあるのではないだろうか。

 『ツイステ』の公式サイトには、「本当のハッピーエンドを見せてやる」とのコピーが踊る。枢やな氏が描く「悪役たち(ヴィランズ)」による「本当のハッピーエンド」とは、どんなものなのか? ぜひ、あなたにも見届けてほしい。

■藤谷燈子
ライター。ノベライズをはじめ、主に女性向けゲームやドラマCDのシナリオを手がける。イベント取材やインタビュー、ガイドブックの執筆なども担当。Twitter

(C)Disney. Published by Aniplex

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