2025年は阪神・淡路大震災から30年。防災士が教える最新情報で防災アイテムをアップデート

防災士が教える最新アイテム

 2025年は能登半島地震から1年、阪神・淡路大震災から30年を迎える年。防災の意識は年々高まってはいるが、来年はより意識を高める年ともなるだろう。そこで備えておきたいのは最新の「防災アイテム」だ。各種防災アイテムの開発に力を入れてきた専門商社・山善では防災士の資格を持つ担当者が製品開発に携わってきたという。12月10日に行われたタッチ&トライ会で披露された最新事情と注目の防災アイテムを紹介しよう。

最近は災害時の「トイレ」対策需要が急上昇

 解説してくれたのは「“今まで買えなかった人が買える防災グッズづくり”をモットーに製品を開発してきました」と語る株式会社山善 家庭機器事業部 第3商品統括部 商品企画4部長 小浜成章氏。一般ユーザーは防災アイテムは高い、何を買っていいのか分からないという部分で躓くことが多く、そこでまずは危険から逃げるための一次避難アイテムと、安全確保後の二次避難アイテムをしっかり分けて捉えるのが防災アイテムを把握するのに役立つと語る。

yamazen
防災士の資格も持つ株式会社山善 家庭機器事業部 第3商品統括部 商品企画4部長 小浜成章氏。

 一次避難用だと防災アイテム一式が入った防災バッグ、二次避難アイテムではトイレアイテムなどが挙げられる。それぞれアイテムは後述するとして、最近、注目されるのが二次避難アイテムにカテゴライズされるのが防災トイレであるという。「能登半島地震でも発生直後から問題になっていたのがトイレです。臭いや衛生面はもちろん、精神的にも悪影響を与えるので実は重大な課題なのです」と力説する。確かに備蓄食糧などは3日を目処に備え、後は救援を待つというのがセオリーだが、能登半島地震でも東日本大震災でもライフラインの復旧には約1ヶ月、遅いところでは2ヶ月以上という場面も。非常に切実な問題となってくる。

yamazen

 そこで小浜氏が開発したのが、2024年12月から発売する『もしもの時に備える!緊急簡易トイレ』だ。凝固剤、汚物袋、処理袋、便座カバーがセットになっており復旧までの緊急トイレケアが可能に。「消臭・抗菌効果のある約10gの凝固剤には長期保存可能なアルミパックを採用。10回分をまとめる処理袋をセットにしてリーズナブルな価格としました」。50回分(2980円・税込)と100回分(4980円・税込)があり、目安としては50個で1人が1週間~10日の使用が可能で、(断水時の)自宅トイレで使う際にアタッチメント的に使える便座カバーもセットされている。

yamazen

 また、完全に自宅のトイレも使えなくなった場合は同じく同社が2004年8月から発売している『防災士監修! サッと簡単トイレ』(3980円・税込)も活用したい所。こちらは組み立て式のトイレで樹脂製となっており、段ボール製と違い洗って繰り返し使えるのがポイントだ。簡易トイレは今夏に発令された南海トラフ臨時情報時には需要が急拡大したそうだ。今後、確実におきるとされる東南海地震などでは都市部への影響も甚大とされている。トイレ対策はより切実なものとなってくるだろう。

yamazen

 なお、紙に関してもトイレットペーパーの約4割は静岡県で生産されており同地での震災時には深刻な供給不足が懸念されている。経済産業省ではトイレットペーパーの1ヶ月備蓄を推奨しているが、長期保存が可能なトイレットペーパーがあると心強いだろう。山善では小浜氏がセレクトした『長期保存用トイレットペーパー』(70メートル・327円、200メートル・658円:共に税込)も取り扱っている。こちらは阪神・淡路大震災時の教訓から湿気やカビなどを防ぐアルミ真空包装で、開封されてなければ水没にも耐える。これから各種トイレの防災アイテムは備えておきたいものだ。

一次避難用のリュックは個人単位で備える時代に

yamazen

 冒頭から二次避難アイテム、特にトイレ対策の必要性を力説した小浜氏だが「一次避難アイテムについても引き続き重要です」とのことで紹介してくれたアイテムが2016年に発売し、累計170万個を売り上げたという『防災バッグ YBG-30』だ。災害直後に一緒に持ち出すことを想定し、懐中電灯やラバー手袋、アルミブランケットなどをセットに。「防災リュックは一家にひとつというイメージが強いですが、各人にひとつを目標に内容はもちろん価格面でも工夫したのがポイントです」と語る。商品名通り30個の一次避難用アイテムを内包したリュックが4800円(税込)と、かなりリーズナブルなプライスとなっている。

yamazen
yamazen

 また、2023年に発売した『リュック&キャリー型バッグ YKB-30R』(7980円・税込)は背負うのは体力的に厳しいとのリクエストにも応え、背負うだけでなくキャリーとしても2通りで使える防災セットとなっている。こちらは『防災バッグ YBG-30』と異なり、伸縮式の簡易エアーマット・空気入れがセットされており、給水タンクを入れての持ち運びも可能となっている。どちらも防災士が知識と経験から選んだアイテムがセットされており、各人備えておきたい。

yamazen
yamazen

 なお、これらとは別に個人的に興味深かったのが一次避難アイテムとして役立つ『ストロングスリッパ』(1990円・税込)で、割れたガラスや釘などを踏んでも大丈夫な安全靴基準をクリアしている。この手のアイテムは鉄板などで重くなることが多いが、こちらのアイテムは防弾チョッキでも使われるアラミド繊維をソールに採用することで非常に軽くなっているのが特徴。日常使いにも便利で、一次避難の防災アイテムを普段から使うという選択もありだろう。

災害時に電気と情報の確保は最重要項目

 

yanazen

 一次避難から二次避難まで通して備えておきたいのが『手回し充電テレビ+ラジオ  JYTM-RTV430』(1万7800円・税込)だ。見た目はインテリアに馴染むデザインだが、手回し・乾電池・AC電源・モバイルバッテリーの4電源に対応したテレビ&ラジオ。災害時に最も恐ろしい事態がデマやパニックで、実際に近年の災害ではSNSでデマが飛び交った事態もあった。SNSは便利だが非常時には情報の真偽の見極めは難しく、やはり認可メディアの情報が頼りとなる。そこで、こちらのアイテムではAM/FM(ワイドFM)/ワンセグに対応。手回し充電でも約5分間で、ワンセグでも5分の視聴を可能にしている。画面サイズは4.3型と同社前モデル(2.8インチ)からインチアップ。

yamazen

 災害時には情報過多になりがちなテレビ画面でもより見やすくなっている。また、手回し充電からのスマホなどへの充電、ライトやサイレンが付いているなど、一家に一台あると災害時には重宝することだろう。「更にコンデンサー充電池を搭載することで、約10年間のメンテ不要としているのもポイントです。手回し充電機能もこれまでの約2倍の性能となっているのでオススメしたいですね」とのことだ。

 昨今の防災事情とそれに合致する防災アイテムを解説してくれた小浜氏だが最後に「各自が備えつつも、それを家族や近隣でシェアする心構えが災害時には肝要となる」と説く。自身の身を守る自助ユースにしっかり備え、それを周囲とシェアする共助の体制をとり、そしてパニックにならず公的支援の公助を待つ。これら各ステージに合わせての防災アイテムへの理解と準備がこれからの防災対策には必要となるだろう。来たる災害に備え、情報とアイテムをアップデートしたい。

4cmの段差もひとっ飛びの全自動ロボット掃除機  インテリアに馴染むデザインの『Roborock Qrevo Curv』がすごかった

『Roborock Qrevo Curv』、新たに開発された全自動ロボット掃除機は、特殊な充電ドックと段差乗り越え能力を備えてい…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる