MyBMG、SYNCROOM、Endless……ウィズコロナ時代に進む“音楽業界のリモートワーク最前線”

MyBMG、SYNCROOM、Endless……ウィズコロナ時代に進む“音楽業界のリモートワーク最前線”

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、テクノロジーを駆使したデジタルコンテンツは広がりを見せており、我々の新たな日常において、日々その重要度が増している。

 例えば、仕事においては感染予防のために3密を避ける”リモートワーク”は、今春の外出自粛期間中に社会に浸透。電話やメールといった従来のツールだけでなく、オンラインミーティングツール『ZOOM』の急速な普及を促した。またそのオンラインミーティングツールは仕事以外の場面でも活用され、「ZOOM飲み」という言葉とともに、友人同士、知人同士がオンラインでコミュニケーションを楽しむ場を作り出すことに一役買ったことはすでに多くの人が知ることだろう。

 現在、日本では新型コロナウイルス感染拡大を目的にした外出自粛は解かれ、ここ数ヶ月に渡り、営業自粛をしていたライブハウスや映画館、劇場、テーマパークなども営業を再開し、緩やかではあるが日常にエンタメが戻りつつある。しかしながら、今月に入り、東京都では1日の新型コロナウイルス新規感染者数の最多数が更新されるなど、まだまだ状況は予断を許さない状況だ。

 そんな中、音楽業界でも新型コロナウイルス感染防止の観点から作業のリモートワーク化は進んでおり、例えば、自粛期間中には『Zoom』を使ったリモートセッションの様子が、YouTubeや各種SNSに多数投稿されたことは記憶に新しい。また、リモートセッションでいえば、最近、Chara、SIRUP、TENDREらをはじめとした複数のプロミュージシャンたちが音楽制作、録音、MVの撮影に至るまでをリモートで行うプロジェクト「TELE-PLAY」として楽曲をリリースするなど、制作の現場においてもリモートワークはウィズコロナ時代のスタンダードになりつつある。今回は、そんな音楽ビジネスの現場で進むリモートワークをテーマに、その最前線に立つサービスを紹介していきたい。

 インディペンデント系音楽パブリッシャー大手のBMGは、新型コロナウイルス感染拡大を受け影響を受けた音楽業界の状況を鑑みて、ロイヤリティ・トラッキングアプリ『MyBMG』に作曲家、アーティスト、プロデューサー同士をマッチングする機能を追加した。「WATCHLIST」と呼ばれるこの機能では、例えばアーティストに楽曲提供を行いたい作曲家が曲のアイデアをBMGのプロジェクトやレーベルのA&R、もしくは別の作曲にピッチする、つまり提案することで自身を売り込むことが可能になっている。

 現在のような状況であれば、「WATCHLIST」のメリットは、ユーザーによる自身の売り込みが安全性を確保した環境から行えることだ。そのメリットは今後、これまで業界との繋がりがなかった音楽クリエイターの新規参入の促進やピッチがリモートワークで可能になることで、物理的なタイムロスがなくなるなど、コロナ収束後の音楽クリエイターの働き方にもポジティブな影響を与えることが期待できる。

 次に、実際の音楽制作の現場におけるリモートワークを促進するツールとして注目したいのが、リモートセッションを可能にするツールだ。その中でも今、音楽クリエイターの間で話題になっているのが、楽器メーカーのヤマハによるオンライン遠隔合奏サービス『SYNCROOM』。同サービスの特徴は、インターネット回線を介して遠隔地間の音楽合奏を実現し、最大5拠点まで複数のユーザー同士がオンラインセッションを行えるところにある。

 現在の新型コロナ感染状況を考えると、これまでのようにミュージシャンやエンジニア、プロデューサーたちがスタジオに集まるってレコーディングを行うことにも感染リスクは少なからずつきまとう。そのため予防のためには各個人はもちろんのこと、利用する施設に関しても予防のためのソーシャルディスタンスを確保ための施策が必要になってくる。しかし、そのような感染対策ももし、自宅やプレイベートスタジオからオンラインを通じて、リモートで音楽制作ができるのであれば、少なくとも人が集まることで起こる感染リスクを物理的に避けることが可能になる。

 そういったメリットを持つ『SYNCROOM』では、リモートセッションに必要不可欠な音の遅延問題対策が施されている。一般的に使用されるIP電話やオンラインミーティングツールで生じる音の遅延は、会話レベルでは気にならないが、ミュージシャン同士がお互いの音を聞きながら楽器を演奏していくセッションでは、音の遅延が生じることは不都合だ。しかしながら、『SYNCROOM』では、音楽の合奏に許容される範囲内に収まるよう、可能な限り音の遅延を小さくするバッファリングを行う技術と、ルーターなどに特別な設定を行わなくても簡単に接続できる技術を組み合わせたヤマハ独自の技術『NETDUETTO』が採用されている。こういった、セッションにおける必要不可欠な部分に気を払う視点は、やはり楽器メーカーならではだろう。

 また『SYNCROOM』では、テクノロジー面だけでなく、ユーザーがコミュニティを作り、交流するための施策として、公式プレイヤーズサイトも設けている。『SYNCROOM』を利用してセッションを行う場合、ユーザーはネット上に設けられた仮想の部屋である「ルーム」に入る必要がある。ルームは、作成したユーザーが自由に公開か非公開かを選べるのだが、公開されている「ルーム」に関しては、”仮入室”することで、そのルームの雰囲気を確認することができ、見知らぬユーザーの中から自分と気が合う者を見つけて交流を深めることも可能だ。このような点は、コロナ感染拡大防止のためにある程度の制限を設けざるを得ない現実世界を補完する要素であり、現実のように物理的な制限に縛られることがない、広大なオンライン空間の強みが活きてくる部分だといえる。

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