90年代と今はここが違う! 映画『SUNNY』が描くテクノロジーとコミュニケーションの変化

90年代と今はここが違う! 映画『SUNNY』が描くテクノロジーとコミュニケーションの変化

 そんな時代の変化、テクノロジーの変化も描いてみせた本作は、若い世代にとってコミュニケーションと向き合う作品ともなっているようだ。『NEWS ZERO』(日本テレビ系)で放送された、主演の広瀬すずと欅坂46の平手友梨奈の対談では、映画を見た平手が「今はSNSだったりスマホでコミュニケーションをとる。遊びに行っても結局みんな下向いちゃって、その場にいることを忘れてしまっている」とコメント。それは劇中でも対比として描かれており、90年代の女子高生たちは顔を合わせている間中、とにかくしゃべりまくるのに対し、現代の少女たちは友人同士で集っていてもそれぞれがスマホに夢中で静かなものだ。

 実際は彼女たちのしゃべり場がリアルな空間からLINEのトークルームに移っただけで、本質的には変わらないのかもしれない。それでもどこか空虚に思えるのは、“声の不在”ではないかと思う。「SUNNY」のメンバーが集うシーンでは会話の内容以上に表情や声のトーンで、それぞれがそれぞれの思いをあけっぴろげなくらい主張していた。それは素顔の見えないスマホの中のコミュニケーションでは、いくら絵文字やスタンプを駆使しても伝わらないものだ。むしろ文字を打ち込むことで、その時の気分はいくらでも取り繕えてしまう。母校を訪ねた奈美に恩師が、「今の子たちは裏で何をやってるかわかりにくくなった」とぼやくシーンがあるが、それも“声の不在”に由来することではないだろうか。顔を合わせていなくてもリアルタイムでコミュニケーションが取れたり、あらゆる情報が端末ひとつで手に入る便利さと引き換えに、私たちは知らず知らず“声”を失っていたのかもしれない。

 それでも本作が世代を超えて支持されている背景には“友情”という普遍のテーマにある。時ともに移り変わり廃れていく文化もあれば、変わらない関係性や共有した思い出もある。変化と普遍、両方を描くことがこの作品の本質だったのではないだろうか。

 90年代、今よりずっと世界は狭かった。そしてその分、濃密だった。これからよりテクノロジーやツールが発展していき、スマホですら遠い彼方に消えていくとしても、折にふれ標のように見返したい作品である。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

■公開情報
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
全国東宝系にて公開中
出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、リリー・フランキー、板谷由夏
原作:『Sunny』CJ E&M CORPORATION
監督・脚本:大根仁
音楽:小室哲哉
配給:東宝
(c)2018「SUNNY」製作委員会
公式サイト:http://sunny-movie.jp/

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