スマホ中毒は麻薬の蔓延より大きな危機? 米メディアが伝える厳しい警告
スマートフォン(以下、スマホ)はいまや、私たちの生活に欠かせない。SNSで誰かと交流するのも、ショッピングをするのも、音楽や動画に触れるのも、すべてスマホ1台で完結できる。スマホなしの生活は想像できず、一定時間触れないでいると、苦痛や不安を感じる、という人も少なくないだろう。しかし、そんなツールに心身の健康を損ねる可能性があるとしたら、「どのように向き合うか」を考えざるをえなくなるはずだ。
海外のエンタテイメント情報サイト『Variety』に掲載された「ハードウェアにしばられている? テクノロジーの巨人はデバイス中毒に関する厳しい質問に直面する」という記事では、次のように指摘されている。
「スマホ中毒は、目の異常を誘発するのが一番の問題に思われるかもしれません。しかし、さらに壊滅的な影響を与える可能性があります。デジタル機器やインターネットを極端に使用すると、アルコールや薬物乱用のような衰弱や致命的な行動依存症につながる恐れがあるからです」
少し、誇張した忠告にも思えるが、スマホ中毒の恐さを実感したことある人は、感覚的には納得できるのではないか。同記事はさらに次のように続ける。
「アメリカ小児科学会(APP)でメディアとコミュニケーション評議会の議長をつとめるデイヴィッド・ヒル博士によると、最近の調査で判明したのは、米国の10代のおよそ5~8%が、スマホの問題のある使用で精神に異常をきたしているということです。ヒルは、私たちの社会でそれが果たしている影響を考慮すると、恐らく麻薬の蔓延よりも大きな危機と言えるだろう、とも警告しています」
数々の専門家が、このように厳しい警告をしている。実際、国内の調査でも、依存症の可能性が指摘されている。
北海学園大学経営学部の伊熊克己教授による論文『学生のスマートフォン使用状況と健康に関する調査研究』によると、2015年、同大学の学生スマホ保持者267人にアンケートをとった結果、「あまり健康でない」、「まったく健康でない」と自覚している割合は、およそ11%にのぼった。また、自覚症状別の項目割合では、「疲れている」と感じる割合が83.8%と最も多く、直接的な精神的ダメージといえる「うつになる」は47.2%との結果が出た。伊熊は、ここから依存症の可能性を推察。「会話やゲーム利用を中断することが困難になったり、また、中断することによって精神的な不安感やイライラ感が出現する等の行動的依存症が問題視されている」と指摘している。
「スマホ中毒」を巡る状況は、すでに我々ユーザーが想像するよりも深刻なのかもしれない。
(文=梅澤亮介)