The Sea and Cakeの記事一覧

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アート・ロックのジャンルで高い評価を得ていたシュリンプ・ボート解散後、エリック・クラリッジ(b)とサム・プレコップ(vo&g)は元カクテルズ(←シュリンプ・ボートを少しおとなしくしたようなバンド)のアーチャー・プレヴィット(g/コミック漫画家としても有名。『SoF'BoY』の作者)を誘い、“シー・アンド・ケイク”を結成した。
 ジャズやR&B、人力のドラムンベースを彷彿とさせるような力強く複雑なリズムに絡む甘いマイナー・コード。そして、サム・プレコップのスキャットに近い、流麗なウィスパー・ヴォイス。——それらが一体となった時、彼らならではの深遠な森の如しソウルフル・ナンバーが完成するのだ。心地よい軽めのナンバーも十八番にしているが、インストゥルメンタルやジャズ・テイストのポップな楽曲においても、同様に聴き手を楽しませてくれる。それはジョン・マッケンタイア(ds)の流れるようなドラミングに負うところも大きいだろう(また、彼はプロデューサー/リミキサーとしても天才肌である)。
 95年のアルバム『ザ・ビズ』以降、ある種の中毒性をはらんだ、独特の“快適音楽世界”を確立することに成功したシー・アンド・ケイク。——静謐でいて浮遊感あふれる最新作『oui』(01年)は、ロックの未踏の分野へ切り込んだ傑作だ。