トム・ミッシュや奥田民生のレコーディング模様も 宅録/多重録音の今を伝える5作
今回のテーマは「宅録/多重録音の今を伝える5作」。新譜をキュレーションする前に、まずはYouTubeから二つ紹介しましょう。 …
伝説的UKサイケデリック・バンド、スペースメン3で活動していたジェイソン・ピアースを中心とするスピリチュアライズド。
ホーンやストリングスを用いたオーケストレーション・サウンドが紡いでいく曲はピアースの眩惑的なヴォイスと織り合い、またノイズ・ギターやキーボード、ハーモニカなどの重層的なアンサンブルによってドラッギーなサイケデリアへ昇華されていく。
97年に3rdアルバム『宇宙遊泳』を発表。トリップ感満載のメロディと狂気の沙汰とでもいうべきピンと張り詰めた緊張感、そして、バンドのメンバーでピアースと恋人関係にあったケイト・ラドリー(key)との破局が色濃く影響している歌詞——ケミカル系の高ぶりをもちながら、“やるせなさ”や“切なさ”といった人間的な情動をもたたえたこの作品は各方面で高い評価を得た。ちなみにそのケイトはリチャード・アシュクロフト(exヴァーヴ)と結婚し、バンドも脱退している。
レコーディング直前にメンバー全員を解雇、ピアーズ自らがスコアを書き、総勢100人に及ぶオーケストラなどを起用して恐ろしく荘厳な世界を描き出した『レット・イット・カム・ダウン』(01年)。そのツアーで起用したメンバーがそのままバンドとなってロック・バンド的なダイナミズムを打ち出しつつ、オーケストラ・サウンドも要所で登場、これまでの集大成的な内容となった『アメイジング・グレイス』(03年)。——その進化はとどまることがない。
今回のテーマは「宅録/多重録音の今を伝える5作」。新譜をキュレーションする前に、まずはYouTubeから二つ紹介しましょう。 …