『VIVANT』はなぜ熱狂的な“考察”を生むのか? 視聴者を“スパイ気分”にさせる仕掛けの妙

スパイものが生む没入感とスリルは、当事者性と時々刻々変わる問題状況によってもたらされる。ミッションを遂行し、目標を達成したときに初めて全てのピースがそろい、人物関係図が完成する仕組みだ。『VIVANT』でも、毎話の情勢に応じて相関図が更新されているのはご存知の通りだ。
スパイもののダイナミズムは、あらかじめどんでん返しを設定しやすくしている。仕掛ける側の作り手からすると、事後的なネタばらしを前提として、視聴者に挑戦状をつきつけることは比較的容易だ。ストーリーの各所にヒントを散りばめることで、被分析性が高まる。考察を呼び込みやすい構造をスパイものは持っているのである。

ミステリーやサスペンスと比較して、作り手との知恵試しが成立しやすいスパイものにおいて、視聴者は、主人公とともに任務を遂行しながら、作者が仕掛けるフェイクやおとりのトラップに翻弄される。そこにあるのは「だまし、だまされる」関係性であり、ゲーム的な楽しみである。いうなれば視聴者も第3のプレイヤーとしてミッションに加わるのである。
スパイ気分を味わいながら心地よく物語に没入するための工夫は、物語の外でもされている。周辺人物に関する情報を付与することで、作中の見えなかった線がつながる。YouTubeとTBSラジオで配信される『VIVANT 悪役会議室』は、悪役を演じる俳優の意外な横顔やキャラクター造形を掘り下げることで作品の背景や詳細を明らかにし、考察のヒントとなる。
考察には二次創作の側面もある。SNSによって拡散しやすい特性を考慮し、ネットミームになりそうな表現を本編に仕込むことは有効な手法だ。堺雅人が一人三役で演じるリュウ・ミンシュエンが「私に嘘はつかないで!」と絶叫しながら放つ“リュウビンタ”など、フックのある描写が意図的に埋め込まれている。

『VIVANT』第2シーズンで、考察によって視聴者のエンゲージメントを高める作り手の狙いは成功している。放送再開後の第19話からは、スパイアクション的な活劇も繰り広げられるだろう。考察を上回るスリルと作り手の意図の先を行く考察。未踏の荒野を進む『VIVANT』の熱量は、作り手と視聴者の交錯によって生み出されている。
■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs





















