『風、薫る』“環”瀧七海はりん&シマケンにとって“かつての自分” 世代交代描く最終章へ

NHK連続テレビ小説『風、薫る』第24週「環」は、そのタイトルの通りに環(瀧七海)が主軸となる週だ。突如現れた実の父・亀吉(三浦貴大)や幼少の朧げな記憶の中に確かにいた祖母・貞(根岸季衣)の不器用な優しさ、もう一人の母として守ってくれる直美(上坂樹里)という存在。周りの家族に支えられながら、環が絵描きになりたいという夢へと踏み出していく週だ。

第120話は、環がりん(見上愛)に夢を打ち明ける5分ほどのシーンから幕を開ける。環はいつの間にか立派な母の背中を追おうと、その母に喜んでもらおうと考えることが苦しくなっていた。女学校に通わせてくれている母を悲しませたくない。その一心から内に秘めた思いも伝えられずにいた。「女が自分の力だけで生きていく厳しさは分かってるつもりです」という環の並々ならぬ思いに、りんは夢に向かう覚悟を感じていた。と同時に、それはかつてりんが看護の道を目指すことを美津(水野美紀)へと告げるシーンを思い起こさせるものでもある。結婚して家のことをやりながらでも絵を描くことはできる、という娘を思う自身の言葉が、りんにとってはあの日の美津の気持ちを考えさせる――そんなシチュエーションになっている。

環は、りんと島田(佐野晶哉)にとってのかつての自分だ。目指す場所は違えど、女流画家という過酷な道のりを行く、同じ創作という生み出す喜びにとらわれてしまった。「お母さんみたいにはなれない」と分かったからこそ、環は環の道を切り拓いていく。島田はその背中をそっと押す。東京明光新報社の綿貫(小松和重)に認められ、名刺を受け取る環を見つめる島田の笑顔が優しい。朝ドラで新聞社というと最近では『あんぱん』(2025年度前期)で高知の新聞社に入社するのぶ(今田美桜)がいるが、年代的にそれよりも先んじて環は男社会の新聞社で働き女性画家として生きていくということになる。「道をはずれた人から、いつも道は生まれた。」という本作のキャッチコピーをりんと直美たちに続き、環もまた体現するということでもあるのだろう。

第120話ラストにはりんの前に真風(研ナオコ)が現れ、環の描いた明(開原律)を見て「絵は人となりを映す。強い子に育ったね」と告げた。“新しい風”を予見し、真風は姿を消す。『風、薫る』も残り2週。第25週「風媒花」の予告には、ツヤ(東野絢香)が再登場。貧しい環境にありながら、医療事故で看病婦をクビになってしまった、その後が気になる人物の一人であった。りんと直美が新たな養成所を設立する描写もありながら、島田が倒れる姿も。いよいよ『風、薫る』が佳境に差し掛かってきた。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















