見上愛✕上坂樹里、“りんと直美”を生きた1年を振り返る 「2人だから乗り越えられた」

NHK連続テレビ小説『風、薫る』は、看護師のパイオニアとして道を切り拓いた二人の女性の物語だった。看護職の奥深さや苦悩はさることながら、一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が見せたバディとしてのたくましさ、そして温かさ。この二人だからこそ生み出せた最高の化学反応と絆に、毎日元気をもらっていた視聴者は、きっと私だけではないはずだ。そんな“新しい朝ドラ”の主人公として日本全国にエールを送り続けた見上と上坂に、クランクアップを終えた今、1年にわたる撮影の裏側や互いへの思いについて、たっぷりと語ってもらった。
『風、薫る』は“二人だからこその温かく力強いドラマ”

――長期間の撮影、本当にお疲れ様でした。本作はバディとしての魅力が詰まったドラマでしたが、撮影を進める中で、お二人が「二人で良かった」と感じた部分を教えてください。
見上愛(以下、見上):自分だけではなく、同じものを背負っている樹里ちゃんがずっと横にいてくれることが、本当にありがたかったです。りんや直美という関係性においても、やはり一人だと成長できる度合いにかなり限りがあって。常に片方に何かあれば、もう片方が手を差し伸べて引っ張り上げる。二人だからこそできる温かさのある力強いドラマになったと思います。
上坂樹里(以下、上坂):一人の人間の人生を生きていく中で、直美だったら文さん(内田慈)や吾郎さん(甲斐翔真)、りんだったらシマケンさん(佐野晶哉)のようにさまざまな人と関わることになると思います。自分一人の人生だけでは触れられない部分まで、りんと直美がお互いに触れて、肯定も否定もし合う。そうやって他人の人生に入り込んだり、入り込んでもらえる存在がいること。それが人生を豊かにすることを、強く感じました。
――お二人がバディとして1年の撮影を走り抜けてきた中で、お互いに尊敬できる部分や刺激を受けた部分はどこですか?
見上:樹里ちゃんは、とにかく大らかで、周りが自然と安心するような空気感を常に持っているんです。どんなに現場が大変なときでも、愚痴を言っているのを聞いたことがなくて。お芝居の面でも感受性がすごく豊かで、他の人のお芝居を柔軟に受けて直美を演じているので、私が台本を読んでいるだけでは想像もできなかったような直美の表情や感情を、一番近くで見せてもらえて幸せでした。
上坂:ありがとうございます(笑)。愛さんは、自分が一番大変なときでも、どんなときでも周りを見て引っ張ってくれるんです。この『風、薫る』という作品を、先頭で毎日照らしてくれたのは愛さんの力のおかげです。私からいろんな表情や感情を引き出して、直美にしてくれたのは、間違いなくりんのおかげです。ともに1年間走りきることができて、本当に感謝でいっぱいです。
見上:ありがとうございます(笑)。

――撮影で一番つらかった時期やシーンはいつですか?
見上:年明けからの撮影ですね。養成所に入学して、実際にりんや直美が学ぶような包帯の巻き方などを、私たちも学びながら撮影していかないといけなくて。最初は覚えることの多さと、急にシーン数が増えたことでてんやわんやしていました。ですが、年齢が違う方々もいましたけど、同じ同級生としてみなさんと一緒に撮影できることはすごく楽しかったです。すごく仲がいいんだけど、撮影前にはそれぞれなんとなく自分の世界に入ったり、役に集中するタイミングみたいなものが、話さなくても初めからなんとなく分かる独特な空気感のメンバーで。そういう絶妙なバランスのみんなだったからこそ、大変なこともあったけどかなり楽しい期間でもありました。
上坂:私も看護学校のシーンはスケジュール的にも大変でしたが、同級生のみんながいたから乗り越えられました。個人的に一番つらかったのは、やはり吾郎さんとの結婚後のシーンですね。
――幸せな新婚生活のシーンだったかと思いますが、なぜ一番つらかったのでしょうか?
上坂:とにかく泣くことを我慢するのがすごく苦しかった期間でした。短期間で幸せな新婚生活を撮ってから、最後に一人でボタンをつけるシーンまでを立て続けに撮影したんです。この先の展開が分かっているからこそ、吾郎さんがご飯を作って、二人で何気ない会話をしているシーンが余計に辛くて。直美にとって吾郎さんは一番愛した人で、強さも弱さも教えてくれた大事な人。その人が亡くなったことは受け入れがたくて、苦しくてたまらない時間でした。ボタンが取れてたのは吾郎さんが「直美がボタンをつけてる姿が見たいから」という理由で。「ずるいな、許せないな」と思いつつ、「でも、そんなところを好きになったんだよな」と感じる、二人らしい最期だったと思います。



















