『一次元の挿し木』山田涼介が直面してきた数々の現代的テーマ 情報社会の“リアル”とは

『一次元の挿し木』山田涼介が社会問題に直面

 読売テレビ・日本テレビ系で放送中のドラマ『一次元の挿し木』がいよいよ最終回を迎える。考古学を学ぶ大学院生・七瀬悠(山田涼介)が、失踪した義理の妹・紫陽(堀田真由)の行方を追ううち、“人類最大の禁忌”クローン開発をめぐり、秘密を隠そうとする関係者や開発技術を狙う海外大手企業が錯綜して巻き起こる殺人事件、悠たちの追走を描くミステリーである。

 佳境に入り、すでに重要な謎のいくつかが解明されている。悠の義父・京一(佐々木蔵之介)の製薬会社・日江製薬は、教祖を復活させたいカルト宗教団体「樹木の会」と結託しヒトクローン開発に手を染めていた。ヒマラヤの遺跡で「樹木の会」にとっての“聖なる地”ループクンド湖から発掘された古人骨をもとに、狂信的信者であった悠の母が母体を貸し、人工授精で授かったクローンが、紫陽だった。そして悠と行動を共にしていた、悠の恩師・石見崎教授(正名僕蔵)の姪として登場していた唯(白石聖)は、実は石見崎の娘・真理だった。

 熾烈な技術開発競争、カルト教団の陰謀、そしてヒトクローンなど、今日的テーマであると同時に、ミステリー要素として手堅くもあり、ドラマに仕立てた場合に普遍的“過ぎる”とも言える。ともすれば既視感のあるドラマともなる危険性も孕んでいたかもしれない。しかし本作に携わった、『名無し』など多作多ジャンルの作り手として名高い城定秀夫監督と、『宝島』『ふつうの子ども』などの名脚本家・高田亮を筆頭にした制作チームが完成度を高めた。

 特に城定秀夫監督・高田亮脚本となった第6話における、紫陽の誕生の真相を京一から聞かされた真理が彼女との思い出を回想するシーンは忘れがたい。石見崎は京一から衰弱しつつある紫陽を預かり、自分が不在の間は真理に世話をさせていた。次第に仲良くなった二人はある夜、こっそり外出し商店街を歩きながら何気ない会話を交わす。その実に他愛ない会話の内容と、紫陽にとってかけがえのない時間の対比が生む切なさ、それが紫陽を捜し続ける真理の現在とシームレスに接続する鮮やかな場面となった。

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