『GTO』が提起した現実とフィクションの境界線 “鬼塚英吉”反町隆史という強烈な異物

『GTO』現実とフィクションの境界線

 タイトルになったシラノ・ド・ベルジュラックは実在の人物で、ロスタンの戯曲では、シラノは知性と剣術に秀でながら、大きな鼻という自身の容貌に悩む。ひそかに思いを寄せる女性ロクサーヌと同僚の仲を取りもつが、自らの思いは封印する。興味をもった方は、ぜひ原作や映画版をご覧いただきたい。

 今作は、2026年の現在に、平成という時代をそのままぶつけている点に新鮮さがある。変におもねったり下手にアレンジしない分、かえって論点がはっきりする。結果的にうまくハマれば、時代の暗部をえぐることができる。ただし、そのやり方にはマイナス面もある。グレートティーチャー鬼塚が相手にするのは「言いたいことも言えない」令和の高校生たちだ。他方で、鬼塚英吉という登場人物名をタイトルに冠する今作は、現代の視聴者も相手にすることになる。

 2026年と1998年は違う。変わってしまったのは世の中だけではない。時代を映すドラマと、ドラマに対して視聴者が求めるものも変わっている。キャラクタードラマの代名詞だった『GTO』は、ドラマの中と外で、同時に時代と切り結ぶことになる。そのときに、鬼塚英吉という強烈な異物は一歩間違えれば存在そのものが地雷になる。それはドラマの中だけではなく、ドラマの外の現実でも同じことだ。

 予定調和で動かせるのはフィクションの強みだが、現実世界はコントロールできない不確定要素で満ちている。だからこそ、もう一歩、視聴者へのエクスキューズが必要だったと思う。今作のもつ構造的な危うさが露わになったのが第3話だったといえるだろう。

■放送情報
『GTO』
カンテレ・フジテレビ系にて、7月20日(月)スタート 毎週月曜22:00~放送
出演:反町隆史、生見愛瑠、工藤阿須加、高橋メアリージュン、市川知宏、夙川アトム、近藤芳正、宇梶剛士、松嶋菜々子、稲垣来泉、及川桃利、大島美優、梶原叶渚、川口和空、北里琉、柴崎楓雅、難波碧空、西浦心乃助、堀口真帆、森本陸斗ほか
原作:藤沢とおる『GTO』(講談社『週刊少年マガジンKC』刊)
脚本:遊川和彦
監督:中島悟、松田健斗
音楽:福廣秀一朗
エグゼクティブプロデューサー:安藤和久
チーフプロデューサー:河西秀幸
プロデューサー:永富康太郎、伊藤茜
制作協力:メディアプルポ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式X(旧Twitter):https://x.com/GTO2026summer
公式Instagram:https://www.instagram.com/gto2026summer/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@gto2026summer

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