『風、薫る』上坂樹里が語る“2人の母”への感謝 美津の存在に「心から救われました」

現在放送中のNHKの連続テレビ小説『風、薫る』。激動の時代を舞台に、主人公・一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が看護の道を切り拓いていく本作で、りんとともに物語をけん引する直美を演じるのが上坂樹里だ。
第17週では、実母・文との別れを経験し、人生の大きな転機を迎えた直美。 約1年弱にわたって役と向き合ってきた上坂に、直美として生きた日々や、当時の女性たちが置かれた過酷な現状、そして“2人の母”への思いについて、たっぷりと話を聞いた。
「直美も成長したな」と感じた1年

ーーこれまで大家直美を演じてこられての率直な感想を教えてください。
上坂樹里(以下、上坂):準備期間も含めると1年弱、直美を演じてきました。最初の頃は、彼女の行動や言動に対して「どうしてここでこういうことを言うんだろう」と理解できない部分も多かったんです。でも、直美自身の内面がりん(見上愛)をはじめとするいろいろな人と出会う中で、どんどん変わっていきました。その変化を、演じている私自身が同じように肌で感じて、「直美も成長したな」と思える。この1年という長い時間で一つの役をじっくり深掘りできることこそが、朝ドラならではだなと日々実感しています。
ーー上坂さんが特に「直美が成長したな」と感じるのは、どういった部分でしょうか?
上坂:どんなに困難な状況でも立ち向かう彼女の強さは、最初の頃から一貫して変わっていません。ただ、初期の直美はその強さの表現の仕方が、とにかく誰にでもつっかかるような尖ったものでした。それが、看護婦として働く日々の中で「誰かのため」「目の前の患者さんを救いたい」という自発的な気持ちに変わっていったんです。それが彼女の最大の成長だと思いますし、素直に感謝を言えるようになったり、人当たりが前より少し良くなったり。そうした些細な変化からも、彼女の成長を感じています。

ーー物語の中では、当時の女性たちが置かれていた過酷な立場や現状もリアルに描かれています。夕凪さん(村上穂乃佳)を看護するエピソードの中で、「逃げても地獄、戻っても地獄」という話がありましたが、当時の女性たちに対してどのような印象を持たれましたか?
上坂:夕凪さんと出会った頃の直美は、自分の実の母親が女郎だったということを知ったばかりで。母と同じような立場である夕凪さんと出会ったとき、直美が抱いていた気持ちは、どちらかというと憎しみに近いものだったんです。でも、夕凪さんの生き方や考え方に直に触れていくことで、自分を産んでくれた母親への気持ちが少しずつ変わっていきました。「逃げても地獄、戻っても地獄」という言葉からは、夕凪さんが置かれている立場がどれほど過酷で、当時の女性たちがどれだけ生きにくい場所にいたのかを痛感させられましたし、それに対して自分自身が何もできないことへの不甲斐なさのようなものは、すごく強く感じました。
ーーその複雑な感情を抱えながら、お芝居の上で意識されていたことはありますか?
上坂:夕凪さんに対して気持ちが大きく揺らぐ場面もたくさんあったのですが、とにかく自分は「看護婦として、堂々としっかりと構えて看護をする」ということ。そのベースだけは絶対にブレずに持って、夕凪さんに接しようと心がけていました。




















