『風、薫る』りん&直美に“衝撃の事実” “文”内田慈が突きつける看護婦としての選択

NHK連続テレビ小説『風、薫る』第83話では、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)がそれぞれ衝撃的なことを知る。
りんは、直美からの手紙で、彼女の実の母親が文(内田慈)である可能性が高いことを知る。これがもし、りんの知らない人であったならきっと直美以上に「よかったね!!」と喜んだであろうが、まさかの文である。その手紙を読んだ数分で、文と出会ったときのこと、お世話になった日々がりんの頭の中を駆け抜けていったに違いない。そして、手紙の中の直美は「正直、どうしたらいいか分かりません」と戸惑っているようだった。

戸惑いの中、看護を続けている直美は、体調の回復しない文のために思い切って藤田(坂口涼太郎)に声をかけ、往診に来てもらうことに。そこで分かったのは、文の病状はとても悪く、もうそれほど長くはないだろうということだった。藤田は文に入院を勧めたが、実際は入院してもての施しようがないという。長引く体調不良にある程度は覚悟をしていたであろう直美もショックを受けてるようで、事情を深く知らない藤田に文との関係について「母なんです」と口走ってしまうほど。そんな直美を気遣って藤田は「医者は、治療法がない人にできることはほとんどない」「でも、治らない患者にも病院に来られない患者にも、日々、看護は必要だから」と励ました。その言葉で直美はハッとして、少しナースとしての顔を取り戻していた。
りんと離れてからの直美は、よく人を頼るようになった。藤田に往診に来てもらったのは、直美に気のある彼の気持ちをちょっと利用したような形になったが、そのほかにも寛太(藤原季節)に文の調査をお願いしたり、寛太から話を聞いてやってきた育ての親である吉江(原田泰造)に胸の内を明かしたりと、「母」との問題にゆっくりと、でもしっかり向き合おうとしている。近寄ってくる人にさえ牙を向け、警戒する猫のようだった昔の彼女の姿はもうない。だからこそ、藤田からの言葉のように直美の心をときほぐしてくれるような励ましが返ってくるのだ。

だが、文からはもう十分看護してもらったからという理由で、「ここへはもう来なくて結構です」と言われてしまう。直美は「看護婦が患者さんを看るのは当たり前ですから。嫌がられても来ます」と食い下がるが、思い悩んでしまう。
その姿をじっと見つめていたのが“娘”の環(英茉)。そうして場面は再び、冒頭のようなりんが手紙を受け取る場面に戻る。今度、りんが受け取っていたのは環からの手紙。りんが新潟に行ったことがきっかけで手紙を書くことを覚えた環は、拙い文字で直美のピンチを知らせてきたのだ。場所が離れていても環とりんの親子の絆は強い。これまで本作ではりんと直美の“バディ”としての絆の強さがよく描かれてきたが、そこへ新たに直美と環の絆もしっかりとできていた。

「急にお休みが取れたからね」と環とイタズラっぽく笑い合うりんの帰還は、直美にとって一番頼れる人の帰還である。文の看病、その先に見える最期を考える直美を、りんは優しく元気付けてくれる、と思いきやりんは「看護婦しなくていい」と、文の前では“子ども”に戻って、直美のやりたいようにすればいいと思い切ったことをアドバイスした。
ナースとして感情を抑えて振る舞うか、職業のことは忘れて人として振る舞うか。本作では何度か描かれてきたテーマではあるが、今回はその難しい選択を直美が迫られることになりそうだ。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK























