『わたしの知らない子どもたち』トロント映画祭コンペ部門出品 オープニング上映作品に

10月16日に全国公開される西川美和監督の最新作『わたしの知らない子どもたち』が、第51回トロント国際映画祭(TIFF)のコンペティション部門「プラットフォーム部門」に正式出品されることが決定し、同部門のオープニング上映作品に選出された。
本作は、シカゴ国際映画祭で観客賞とベストパフォーマンス賞(役所広司)の2冠を達成し、シアトル国際映画祭でも女性監督作品観客賞を受賞した『すばらしき世界』の制作過程で西川監督が出会った、戦後の日本に実在した“知られなかった子どもたち”を描いた作品。
主人公・琴子役に抜擢されたのは、約500人のオーディションの中から選ばれた、当時11 歳・小学校5年生の小八重葵美。そして女性教師・曽根役を、エミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』にも出演した二階堂ふみが演じる。さらに、竹野内豊、櫻井海音、花瀬琴音らが共演に名を連ねた。
物語の主人公・琴子は、音楽家の父のもとで穏やかに暮らしていたが、戦争と敗戦によってすべてを失い、「生きるために、自分自身を手放す」という選択を迫られる。長い黒髪を切り、親からもらった名前を変え、“少女”であることを棄て、少年として生きるという道を選ぶ。一方、かつて琴子の教師だった曽根は、軍国主義教育に加担した過去を抱え、敗戦によって生徒も恋人も立場も信念も、女性としての尊厳さえも失っていく。ふたりは自らの生き方を手放しながら、それでもなお今日という一日を生き延びていく。
トロント国際映画祭は、カナダで毎年9月に開催される北米最大規模の映画祭。観客の投票で決まる観客賞(ピープルズチョイス・アワード)を採用しており、ここでの受賞作が米アカデミー賞の最有力候補に直結することから、“アカデミー賞の行方を占う前哨戦”として世界中の映画業界や主要メディアから注目を集めている。
本作が出品されるプラットフォーム部門は、2015年から新設された同映画祭唯一のコンペティション部門であり、すべての上映作品から選ばれる観客賞の対象にもなっている。さらに本年度からは、同部門の最高賞「プラットフォーム・アワード」受賞作品に米アカデミー賞国際長編映画賞の応募資格が付与されることとなり、注目度はより一層高まっている。同部門のオープニング上映作品への選出は日本映画として初の快挙となる。
ワールドプレミアは映画祭の開幕日となる9月10日18時頃(現地時間)を予定している。
コメント
西川美和(原案・脚本・監督)
お知らせを聞いた時は、「やったー!」と飛び上がりました。過去にもトロント国際映画祭へ3度招待頂いているのですが、プラットフォーム部門への参加は初めてです。前作は、2020年のコロナ禍での選出だったので、日本からオンラインでしか上映の様子も分からなかったのですが、今回は現地に赴きオープニングに参加できるということでたいへん嬉しいです。“コンペ”部門は光栄ですが、きっと今年の各国の優れた映画が集まると思うので、それに出会えるのもまた楽しみです。トロント国際映画祭はとても大きな映画祭であるとともに、カジュアルで、北米中の映画人たちと街の人たちとが、街の劇場でたくさんの映画を観る、素敵な映画祭なので、私たちの作品を持っていけるのがとても嬉しいです。
今回の作品は子どもから大人までが総力を挙げて挑んだ作品ですし、日本の映画人の“力の結晶”のような仕上がりになっているので、世界の人にも作品のクオリティを味わって頂きたいなと思います。映画は、「字幕がつけばどこまででも渡っていける表現」だと思います。私も隅々まで監修した英語字幕付きのものを、トロントで上映してもらいますが、映画を見てもらうことで国同士の壁が低くなって、よく知らなかった国の人たちとも対話ができたりするようになるんですね。海外の人からすれば、日本の戦中・戦後の物語は身近ではないと思いますが、同時に戦争がたくさん起きている今の世界状況で、みんなが共通に抱いている不安や、どこの場所にも子どもたちがいるということを、もう一度思う契機にもなる内容だと思うので、ぜひトロントでたくさん人と言葉を交わして、友達を作ってきたいなと思います。
小八重葵美(茅野琴子役)
トロントってどこだろう? と最初は思ったけど、調べたらカナダでした。
映画祭は初めてなので、すごく緊張しますが、今までの色んなことを思い出しながら、落ち着いて話せたらいいなって思っています。撮影した時間は3ヶ月だったけど、その前にも、西川監督や、たくさんのスタッフの方々がいろんなこと調べて、頑張って準備してきてくれて、撮影もみんなで一緒に頑張ってやってきたので、いろんな人に見てもらえるのはすごく嬉しいです。
二階堂ふみ(曽根文美子役)
西川監督と小八重葵美ちゃんが中心となって、みんなで頑張った作品が、日本から外に出て、多くの方の観て頂けるというのは、本当に光栄だなとも思いましたし、すごく良いことだなと思いました。
本当に1人でも多くの方々にこの作品が届いてほしいと脚本を読んだときからずっと感じていたので、良かったなと思いました。
映画祭って国を越えて、映画という1つの文化を共有できる場所だと思うので、そういう場所で対立ではなく、想いを寄せ合えるような、そういう作品にきっとなるんじゃないかと思います。いま世界中のいろんなところで争いが続いている中、みんなそれぞれの“戦争”というものに対して、様々な思いや考えを持って、きっとこの作品を観て下さると思います。観てくださる方々にも私たちも思いを寄せて、お届けすることができたらなと思いますし、きっと皆さんが色々なものを感じ取ってくださる作品になっていると思うので、本当に多くの方に届いてほしいです。

■公開情報
『わたしの知らない子どもたち』
10月16日(金)全国ロードショー
出演:小八重葵美、二階堂ふみ、羽山由一郎、小林丞之介、岩田龍門、渋谷そらじ、武内ひなた、櫻井海音、花瀬琴音、竹野内豊
原案・脚本・監督:西川美和
音楽:原摩利彦
撮影:笠松則通
照明:宗賢次郎
美術:三ツ松けいこ
衣裳デザイン:小川久美子
編集:菊池智美
VFXスーパーバイザー:上田倫人、髙橋正紀
製作:紀伊宗之
プロデューサー:小出大樹、伊藤太一
製作・配給:K2 Pictures
共同製作:AOI Pro.
企画:分福
制作プロダクション:AOI Pro.
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