『風、薫る』“直美”上坂樹里の母親=“文”内田慈は確定? 母娘の絆を取り戻せるか

NHK連続テレビ小説『風、薫る』第17週「脈動」第81話では、直美(上坂樹里)が文(内田慈)に「私の母親ですか?」と迫った。
これまで長らく伏せられてきた直美の出生の秘密。わかっているのは、生後間もなく横浜の教会に捨てられていたということだ。直美は母親の顔も自分の本当の名前も知らず、教会を転々としながら生きてきた。しかし、寛太(藤原季節)の調査で、直美の母親は25年前まで品川の「錦栄楼」で働いていた「夕凪」という人気の女郎であることが判明。夕凪は、年季が明ける前に男と駆け落ちしたという。さらには、直美が捨てられた時に首から下げられていたお守りが安産祈願で有名な神社「浦崎八幡」のものであることもわかっている。

一方、文についての情報はほとんどない。りん(見上愛)が東京に来たときすでに、日本橋で舶来品などを手広く扱う「瑞穂屋」で働いていた。店の商品を誰よりも知り尽くしていて外国人の接客もこなす優秀な店員だ。物腰が柔らかく、誰に対しても気さくに話しかけるが、どことなく謎めいた雰囲気がある。
そんな文が直美の母親である可能性が突如浮上したのは、第80話でのこと。腹痛で店を休んでいる文を看病することになった直美は、彼女が寝ているそばに落ちていた髪飾りを拾う。その柄が、直美が持っているお守りの袋の柄と一致したのだ。しかも、その前には文もかつて港の近くに住んでいたと話していた。直美はすべてが偶然とは思えず、固まる。

目を覚ました文はすぐに直美から髪飾りを奪い、布団の中に隠す。すかさず「ごめんなさい。起きたら人がいたから驚いてしまって」と言い訳するが、表情には明らかに動揺の色が浮かんでいた。その場では核心に迫ることができなかった直美だが、故郷について聞くと文は「海の見えるところ」とだけ答える。セツ(村上穂乃佳)が教えてくれた夕凪の故郷は伊豆だ。
直美は「瑞穂屋」の主人・卯三郎(坂東彌十郎)から文の過去を探ることに。2人の出会いは明治元年のこと。たまたま横浜を訪れた卯三郎に、文が詐欺を仕掛けてきたという。瞬時に卯三郎を商人と見抜いた文。卯三郎はりんのときと同じように、その鋭さを買って文を雇ったのかもしれない。
気になるのは、「明治元年=1868年」という時代と、「横浜」という場所だ。第1話は1882年から始まり、その時点で直美は17歳。そこから逆算すると、直美が生まれたのは1865年頃になる。つまり直美が横浜の教会に捨てられた少し後に同じ場所で文は卯三郎に出会っているのだ。こんなにも偶然が重なるものだろうか。

また直美も身分を偽り、同じく海軍中尉のふりをしていた寛太に玉の輿を狙って近づいたことがある。そんなずる賢いところも、ちょっと捻くれたところも、母親である文譲りだと考えれば、納得がいく。直美は寛太に文の調査を依頼し、結果を待つことにした。しかし、少し体調が回復した文の手料理を一緒に食べている中、先走って直接答えを聞いてしまう。もし文が母親であれば、直美は初めて“母の味”というものを知って想いが溢れ出してしまったのかもしれない。

続けて「錦栄楼にいた夕凪。故郷は伊豆。違いますか?」と直美に聞かれた文は、一瞬息を呑んだ後、視線を外して「そんなふうに見えます? 私。名前もつけずに赤ん坊を捨てるような親に見えるってことですよね。そんな酷いことを」と囁いた。もし、直美の完全な勘違いだったら、そんな反応をするだろうか。どこか文は不機嫌そうで、直美は「すみません。そんなわけないですよね」と謝る。しかし、それは直美ではなく自分自身に腹を立てているように見えた。
何よりも、引っかかったのは「名前もつけずに赤ん坊を捨てるような」という言葉だ。直美は自分の本当の名前を知らないということを、文には話していないはず。ここまでくると、文が直美の母親であるという事実は疑いようもない。文は直美に「酷いこと」をした自分が今さら、母親を名乗る資格はないと思っているのではないだろうか。しかし、文が日に日にやつれていくのを見ると、2人に残された時間はきっとそう長くはない。たとえほんのわずかであってもいいから、直美が母親の温かさに触れることができますようにと願う。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















