『風、薫る』上坂樹里演じる直美はなぜ魅力的? りんとの対比で見える“ヒロイン性”

『風、薫る』直美=上坂樹里はなぜ魅力的?

 仕事のスタンスや患者との向き合い方も、りんと直美は正反対だ。患者が手紙を出したいと言ったら代わりに投函し、たとえ難しい要望でも気持ちには寄り添おうとするりん。かたや直美は食事制限中の患者に無断で差し入れしようとするものがいれば、キツく注意するが、制限が緩和されたら、その患者が食べたいものを持っていってあげる。メリハリがあっていいけれど、りんに救われる患者もいるだろうし、どちらが良い悪いではない。ただ必然的にりんのやり方だと仕事量は多くなるので、直美のようなスタンスでいる方が体力的にも気持ち的にも楽だろう。

 また看護婦取締という責任ある立場に就いてから、休みなく働いているりんに対し、直美は見習生たちも休みやすいように、自ら率先して休暇を取っている。現代にも2パターンの上司が存在するけれど、どちらかといえば直美の方が考えや価値観がイマドキと言えるのではないだろうか。ゆえにどこか、身近さを感じる。生き方は器用だけど、手先は不器用という“弱点”もほどよい隙になっていて、好感を持てるキャラクターだ。一方で、洗練されたキャラクターであるがゆえにブレや揺らぎが少なく、現時点では“主人公”というよりも、主人公であるりんを支える“友人”的な立ち位置に収まっている印象を受ける。

 そんな直美にこれからどんな試練が訪れ、どのように人間として、看護婦として、成長していくのか。『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 風、薫る Part1』(NHK出版)には、2人のモチーフとなった大関和と鈴木雅について「大関和が看護の質やあり方を問い続けた人物だとすれば、現実の社会の中で『仕事』として広げていったのが、鈴木雅でした」との記載がある。今後、りんと直美は同じ看護の道でも別々の歩みを見せていくのだろう。その時になって、直美側のストーリーがより大きく展開していくのかもしれない。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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