『チーム・ハズバンド』は“最高のおバカ映画” チン・ソンギュ×コンミョンのコンビは必見

さらに、日本のアニメへの目配せも楽しい。猫耳付き車両が登場する場面では、誰もがジブリ作品『となりのトトロ』のネコバスを連想したはずだ。物理法則を無視したカーアクションが繰り広げられ、終盤には集団武闘シーンまで待っている。秀逸なのは世代間ギャップを笑いに変えるくだりだ。『未来少年コナン』世代と『名探偵コナン』世代、どちらも日本のアニメをめぐってすれ違う論争には、思わず「あ、それわかる」と頷いた人も多いはず。抱腹絶倒なのは、冷凍庫に閉じ込められた2人が、足の指だけでビニール袋を破ろうと悪戦苦闘し足の臭さで悶絶する。説明するとくだらない。だが、そのくだらなさを俳優2人が全力で演じ切るから笑ってしまう。
主演2人だけではない。AIを武器に全国規模の麻薬ネットワークを築く新麻薬王を演じたキム・ジソクは、2009年の『国家代表!?』でブレイクし、2019年の『椿の花咲く頃』でKBS演技大賞優秀演技賞を受賞。ソフトな大人男子のイメージを、本作で鮮やかに塗り替えている。

ヨンガンを演じるユン・ギョンホは、長い服役生活で時代から取り残され、頭の中はいまだフロッピーディスク時代。新麻薬王に「映画の見すぎだ。古い」と呆れられ、洗練されたオフィスビルに気圧され、受付では昔気質の物言いを丁寧なビジネス言葉へと言い換えざるを得ない。プライドは高いのに時代には置いていかれ、威厳を保とうとしては空回りする。その滑稽さと哀愁が同居する芝居は、長年名脇役として活躍し、バラエティでも親しまれてきた彼だからこその味わいがある。『梨泰院クラス』や近作『伝説のキッチン・ソルジャー』で磨かれてきた存在感が、コメディというフィールドで存分に花開いている。
本作は、公開直後に韓国でNetflix国内1位を獲得しながら、「気軽に笑いながら観るのにちょうどいい」という声と、「ありがちな笑いのパターン」という評が並んだ。グローバルでは好成績を収めた一方で、韓国内では賛否が分かれた。本作は涙を誘うヒューマンドラマでも、人生を変える大作でもない。だからこそ、何を期待して観るかによって印象が大きく変わる。

笑えた層とクスリともできなかった層の差。それは年齢でも世代でもなく、「この映画にどんな気持ちで臨んだか」ではないだろうか。『エクストリーム・ジョブ』のような緻密なコメディを期待した人には、本作の大らかなドタバタは物足りなく映る。一方で「今日は何も考えずに笑いたい」という鑑賞モードで開いた人には、同じシーンが腹の底から笑えるものとして機能する。映画の中の旧麻薬王が「AI? なんだそれは」と困惑したように、「高度なコメディ」を求めて臨んだ視聴者も、ある種の「想定外」に直面したのかもしれない。笑えた人と笑えなかった人を分けたのは、映画の質より、その日の自分のチャンネルだった気がする。
本作の原題は『남편들』で、直訳すると「夫たち」だ。劇中では、妻たちの活躍も目立ち、エンディングには少女時代ユナがヨンガンの妻としてサプライズカメオ登場し、続編への期待も膨らませた。今度は妻たち側から描いた作品も観てみたい気にさせられた。ユナの登場には、「最後まで観て正解だった」という歓喜の声がSNSに溢れた。
この映画が最も輝くのは、何も考えたくない休日の昼下がりだ。ソファに寝転び、ポテトチップスをつまみながらNetflixを開く。足の臭さで笑い、時代遅れの麻薬王に吹き出し、最後には少しだけ温かい気持ちになる。気づけば、もうエンドロールだった。
「パパが2人で、幸せ2倍」。劇中のこの一言が、本作のすべてを物語っている。人生を変えるような大作ではない。けれど、肩肘張らずに笑って、少しだけ心を軽くしてくれる映画には、確かな価値がある。ポテトチップスの袋が空になる頃には、少しだけ肩の力が抜けている。『チーム・ハズバンド』とは、そんな映画だった。
■配信情報
『チーム・ハズバンド』
Netflixにて配信中
出演:チン・ソンギュ、コンミョン、キム・ジソク
制作: パク・ギュテ






















