『チーム・ハズバンド』は“最高のおバカ映画” チン・ソンギュ×コンミョンのコンビは必見

『チーム・ハズバンド』は最高のおバカ映画

 ある映画が面白いかどうかは、冒頭5分でだいたいわかる。

 Netflixオリジナル映画『チーム・ハズバンド』の場合、開始数分で麻薬捜査班のエース刑事ファン・チュンシク(チン・ソンギュ)が、新麻薬王マ・ドジュン(キム・ジソク)を逮捕する。しかし、ドジュンの妻ヘラン(イ・ダヒ)が、元妻シネ(カン・ハンナ)と娘ヨンジュ(オ・ウンソ)を報復として誘拐してしまう。追跡に動いた元夫チュンシクが、なぜか現夫で獣医のミンソク(コンミョン)と渋々タッグを組む羽目になる。

 この時点で「今日は真面目な映画じゃない」とにんまりした人は多いだろう。本作は、ソファに寝転び、ポテトチップスをつまみながら観るくらいがちょうどいい。人生を変える傑作ではない。だが、「今日は何も考えず笑いたい」という休日にはもってこいだ。

※以下 映画『チーム・ハズバンド』のネタバレを含みます。

 6月19日にNetflixで世界配信された本作は、翌20日に韓国「今日の映画TOP10」で1位を獲得。配信3日でグローバルランキング2位、30カ国以上でTOP10入りを果たした。日本でもSNSを中心に「頭を空っぽにして笑える」「『エクストリーム・ジョブ』好きなら間違いない」と口コミが広がり、気軽に楽しめるアクションコメディとして支持を集めている。

 監督を務めたのは、『宝くじの不時着1等当選くじが飛んでいきました』のパク・ギュテ。彼らしい遊び心の軸となっているのが、「旧世代vs新世代」というミスマッチな対立構造だ。元夫と現夫、仁川の旧ボス、ヨンガン(ユン・ギョンホ)と新ボス、ドジュン。アナログとAI。映画全体がこの対比で設計され、ドタバタ劇にしっかりとした骨格を与えている。一見すると笑いの連続だが、その裏には緻密な設計がある。

 本作最大の魅力は、やはりチン・ソンギュとコンミョンの再共演だ。2019年の『エクストリーム・ジョブ』から7年、1,600万人以上を動員したコンビが、今回は元夫と現夫という気まずい関係を演じる。短気で一直線な刑事と、おっとりした獣医。正反対の2人だが、そのズレこそが本作最大の笑いになっている。

 本作のコンミョンには、作った芝居ではない自然体の魅力がある。高い評価を得た『告白ヒストリー』や『秘密の監査 -Filing for Love-』で見せてきたのは、包み込むような温かな存在感や、王道のときめきだった。しかし本作で彼が見せたのは、その真逆の「ドタバタ感」と愛すべき「マンネ(最下級生・弟)感」だ。チン・ソンギュという「兄貴」の胸を借りて、トホホな状況をひたすら全力で右往左往する。これまでの魅力を知っているからこそ、自然とにじみ出る「弟感」に思わず頬が緩む。その親しみやすいキャラクターが、このおバカな世界観に最高のスパイスを添えている。実生活では弟がNCTのドヨンであることも、ファンにはよく知られている。

 そして、やはりチン・ソンギュである。『犯罪都市』のシリアスな悪役から『エクストリーム・ジョブ』のコメディまで演じ分けてきた彼は、本作でもその「本気の情けなさ」を存分に発揮する。彼の芝居は、「笑わせよう」として笑わせる演技ではない。本気で生き、本気で焦り、本気で娘を助けようともがく。その必死さが可笑しさへと転化し、情けない姿が愛嬌へと変わるからこそ、観客は自然と彼を応援してしまう。画面に現れるだけで悲哀と男気、可笑しみと優しさを同時に漂わせる稀有な俳優であることを、改めて印象づけた。

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