『風、薫る』“女学校編”が視聴者の心を掴んだ理由 『虎に翼』にも通じる女性たちの連帯

そんな中、多江の結婚騒動が起きる。多江は、看護婦になることを父から反対され、見合いを強要されている。多江自身も、本来は医師になりたいのに看護婦でいいのかと葛藤を抱えており、学校を去ることも頭をよぎる。心労がたたったのか、多江は具合を悪くする。りんたち同級生が看病するのだが、患者を「観察」することができずに的外れなことばかりしてしまう。そこにバーンズ先生が現れ、見事な看護を実践してみせた。多江は看護の素晴らしさに目覚め、父に看護を「医者なんかにやらせてあげられない仕事です」と宣言して、勉強を進めることを決意。この多江の一連の出来事によって、看護とは何かを皆が理解するようになり、バーンズ先生は「もうあなた方に教えることはありません」と宣言するまでになる。

その後、物語の舞台は帝都医科大学附属病院の実習へと移る。養成所で学んだことを現場で試す段になって、学生たちは新たな壁にぶつかる。ベテランの看病婦・フユ(猫背椿)たちとの諍いだ。急に現れた「トレインドナース」への反発は強く、医師たちからも懐疑的な目で見られ、見習い看護婦たちの居場所は狭かった。
状況が変わったのは、和泉公爵夫人・千佳子(仲間由紀恵)というがん患者の登場からだ。病院も看病婦も気に入らず退院するという千佳子に、りんは「観察」を重ねて看護をする。手術を拒む千佳子の気持ちに気づき、信頼を得たエピソードは、学校編のひとつの山場だったと言えるだろう。

後半で特に強い印象を残したのは、ゆきの離脱のエピソードだ。ゆきは、あまりにも患者に寄り添いすぎ、その死を受け入れることができない。ナイチンゲールに心酔して女学校までやめたはずだったが、どんなに想いが強くても「私は人の生き死にに関わる仕事ができる人間じゃない」と悟る。自分には「理由も覚悟もない」と話す直美に、「無理をしなくてもできているということが、向いている証拠」と返したゆきの表情は切なかった。夢と現実の違いを前にした青春の苦さを感じさせ、胸にせまるものがあった。
梅岡女学校は解散になりそうだが、『虎に翼』では卒業後も友情の物語は続いていた。『風、薫る』の同級生たちとの再会を期待したい。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















