『風、薫る』原田泰造が体現してきた“見守る父”の愛 大河ドラマや『サ道』で培った演技力

NHK連続テレビ小説『風、薫る』で、直美(上坂樹里)の育ての親・吉江善作を演じている原田泰造。派出看護婦会の設立に向けて動き始めた直美のもとを吉江が訪れるなど、物語が新たな局面を迎える中、第18週は彼にもひとつの節目が訪れそうだ。直美の人生を誰より近くで見守ってきた吉江は、どのような思いで成長した娘を送り出すのだろうか。
吉江は、幼い頃に親から捨てられ、教会を転々としていた直美を引き取り、今日まで娘として育ててきた。血のつながりこそないが、直美にとって誰よりも父親らしい存在だ。ただし、自分の考えを押しつけることはない。どのような選択をしても、まずは直美の思いを受け止め、迷ったときには必要な言葉だけを手渡すこんな父親がそばにいたら、どれほど心強いだろうと思わずにはいられない。

吉江の深い愛情が伝わってきたのが、結婚を決めた直美に「Is this your life?」と問いかけた場面だ。吉江が確かめたかったのは、結婚の是非ではなく、それが本当に直美の望む人生なのかということ。看護婦を続けるべきだと説得することも、自分の考えを押しつけることもなく、直美が胸の内にある答えと向き合うのを待った。娘の人生だからこそ、最後に決めるのは本人でなければならない。そう信じて見守る吉江の姿は、まさに理想の父親そのものだった。
実母・文(内田慈)と向き合うべきか迷う直美に対しても、吉江は答えを押しつけなかった。文を責めることも、親子なのだから会うべきだと促すこともせず、「本当にそれでいいのか」と問いかける。そこで直美の口からこぼれたのは、謝ってほしかった、抱きしめてほしかった、「おっかさん」と呼んでみたかったという、長年胸の奥にしまい込んできた思いだった。いつも気丈な直美が、吉江の前では幼い娘に戻ったように涙を流す。その姿だけで、2人が本当の親子として過ごしてきた時間の長さが伝わってきた。
そんな吉江を演じる原田は、ネプチューンとしてお茶の間に親しまれる一方、俳優としても長年にわたって確かなキャリアを積み重ねてきた。大河ドラマだけでも、『篤姫』の大久保利通、『龍馬伝』の近藤勇、『花燃ゆ』の杉民治、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の三浦庄司と、これまでに4作品へ出演。歴史の表舞台を駆け抜けた人物から、家族や主君をそばで支える人物まで、作品ごとにまったく異なる顔を見せている。親しみやすい人柄をにじませながら、役が背負う重みや葛藤をしっかりと感じさせるところに、原田の俳優としての力量がある。






















