役の数だけ“別人”を生み出す八木勇征 『LOVED ONE』で証明した役者としての“覚醒”

役の数だけ“別人”を生み出す八木勇征

 本田のメイン回となった第2話では、八木の「どんな短いシーンにも、手を抜かない」というプロフェッショナルぶりが際立っていた。事件前の飲み会で、広野に向かって「なぁ、覚えているか?」と頬を緩める本田は、友人を心から愛おしむ、まっすぐで無垢な青年そのものだ。しかし、友人が仕事の連絡を受けてふと視線を外した瞬間、その横顔をそっと見守るように、八木はわずかに目を細める。台詞のない一瞬のカットに、本田の優しさと、他者を思う細やかな気遣いが静かに滲んでいた。

 このシーンは、その後の悲劇へとつながる重要な伏線でもある。八木が手を抜かず、わずかなカットでも「友人を思う気持ち」を目の動き、緩む口元で丁寧に描いたからこそ、その後に訪れる「友人を失う喪失感」は、より胸に迫るものへと変化していく。

 やがて広野は事件に巻き込まれ、物言わぬ姿となって戻ってくる。チーフの水沢真澄(ディーン・フジオカ)が淡々と死因を告げる傍らで、本田は視線を彷徨わせ、必死に感情を飲み込もうとする。その表情には、言葉では追いつけないほどの悲しみと動揺が滲んでいた。あまりの切なさに、観ているこちらが思わず目を背けたくなるほどだ。それほどまでに、八木の演技は痛切で、真に迫っていた。

 八木の魅力は、その「眼差し」の表現力にある。時に鋭く、美しく、優しく。時には、気まぐれな仔猫のように、グラデーションを帯びてくるくると変わっていくこともある。

 『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』(TBS系)で演じた麻生康介役では、濁りのない澄んだ瞳で、若さゆえの過ちと一途さを表現していた。有栖(福原遥)に「大好きだった」と過去形で告げられた瞬間には、丸く見開かれた瞳で「本当に好きだった」ことが伝わった。彼の目が揺れればこちらの心も揺れ、彼の目が笑えば、見ている側もふっと救われる。八木の瞳は、言葉以上に繊細で、表情がある。心の揺れを瞬時に伝える力が備わっているのだろう。

 第2話の後半、本田は冷徹に見える真澄に向かって、「人の死にざまを掘り返して好き勝手言って楽しいですか」と、瞳に激情を宿して本音をぶつけるシーンがある。若者らしい葛藤と、それでも「死者の真実」を理解したいという誠実さ。これまで必死に抑え込んできた感情がとめどなく溢れ出たあの瞬間、本田雅人が真の意味で「覚醒した」のが伝わった。

 第7話の予告では、人気タレント・天城(堀内健)の「きれいすぎる死体」を巡り、「MEJ」のメンバーが新たな謎に立ち向かう。そこに本田の姿は映っていなかったが、だからこそ期待は高まるばかりだ。

 傷つき、迷いながらも前を向く本田。彼を演じる八木は、次にどんな「瞳」で、私たちの心を揺さぶってくれるのだろうか。八木の歩む軌跡から、もうしばらく目が離せそうにない。

■放送情報
『LOVED ONE』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54〜放送
出演:ディーン・フジオカ、瀧内公美、八木勇征、綱啓永、安斉星来、川床明日香、草川拓弥、山口紗弥加
脚本:守口悠介、市東さやかほか
プロデュース:加藤達也
演出:松山博昭、並木道子
制作協力:AOI Pro.
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/lovedone/
公式X(旧Twitter):https://x.com/lovedone_fuji
公式Instagram:https://www.instagram.com/lovedone_fuji/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@lovedone_fuji

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