八木勇征はなぜ“美しい”のか 『美しい彼』と『隣のステラ』に感じた“臆病さ”の演じ分け

映画『隣のステラ』において、八木勇征が若手モデル&俳優として活躍する柊木昴を演じている。
八木は、FANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバーであり、2018年12月5日、「OVER DRIVE」でメジャーデビュー。俳優活動は、2021年に放送されたドラマ『美しい彼』(MBS)で本格的に俳優活動をスタートしている。『美しい彼』は、私が八木の存在を初めて知ったドラマでもあるが、彼の姿を一目見るなり、その圧倒的な美しさと、儚げな目に魅せられた。

八木の美貌は、少女漫画から飛び出してきたような二次元レベルで、大変美しい。その美しさは、画面にその姿が映るだけで絵になるほどだ。
けれども、役者となると美しいだけでは視聴者である私たちの心は動かない。それが彼を見ると、忘れられなくなってしまうのだ。だから、他の作品にも触れたくなってしまう。
記憶に残るだけではなく、その美しさには中毒性がある。私は、八木が映画『隣のステラ』で主演を務めると知り、「何が何でも絶対に視聴する」と心に決めた。なぜ八木は、私たち視聴者の心を掴んで離さないのか。
八木が主演を務める映画『隣のステラ』は、千明(福本莉子)と、俳優&アイドルとして注目を集める昴との間に芽生える、甘く切ない恋模様を描いた青春ラブストーリーだ。
昴が千明に向ける瞳は、穏やかで優しい。けれども、千明が目を逸らした瞬間、昴の頬に力が入っているのが少し緩み、より目が潤んでいく。それまで画面に映る八木が「スター」の顔ではなく、昔から恋焦がれていた女性に恋をする顔になる。

その瞬間、昴が「実は不器用」であることを悟る。幼なじみ同士特有の「恋をする難しさ」とも言えるのだろうか。家が隣同士で、昔からよく知っている存在だからこそ、素直になれないのだ。
そもそも昴の設定は、小さい頃から臆病で、母親の後ろにいるような少年だ。だからこそ、昴がどんなにスターであってもなお、「控えめで臆病な部分」を表現することは避けて通れない。八木は、その難しい役どころを潤んだ瞳、きゅっと上がる口角など、くるくると変わる表情を駆使しながら巧みに演じ切っていた。
作品の中で、昴は千明に対し、「不意打ち」に見せる表情がある。それが笑顔だったり、悲しそうな表情だったり……。いずれも予測がつかないので、映画を観ている最中は、「昴は今度、どんな表情を見せてくれるのだろうか」と、終始ドキドキハラハラの連続だった。
ストーリーは、平凡な女子高生と幼なじみとの恋という「THE王道」である。正直に白状すると、視聴する前は「ストーリーの展開」についても、ある程度は予測していた。その予測が外れたわけではないのだが、それでも映画が始まった途端、昴の柔らかい目線や、きりっとした表情に胸がドキッとし、体調を崩して辛そうな顔をしている時は、千明と同じように「大丈夫?」と声をかけたくなった。
この映画を観た瞬間、八木が過去に出演していたドラマ『美しい彼』をふと思い出す。ドラマは、高校3年生の平良(萩原利久)が、美しい清居(八木勇征)に一目ぼれするところから始まる。
平良は清居を一目見るなり「綺麗……」と声を上げるし、「こんなに美しい存在を、僕は他に知らない」と確信する。平良が美へ執着する姿は凄まじく、清居を見るなりその美しさと魅力に吸い寄せられてしまう。時には清居の存在を忘れたくなる瞬間もある。なのに、どうしても彼を忘れられない。
清居を演じる八木には、その存在を演じるのにふさわしい美しさがあった。そして八木は、そんな圧倒的過ぎる美の存在「清居」を嫌味なく、自然体でさらりと演じていた。
映画『隣のステラ』においても、八木は『美しい彼』とは一味違う「この世のものとは思えない、圧倒的な美しさ」を表情、立ち振る舞いや、甘いボイスなどを通じてきちんと表現していた。




















