『田鎖ブラザーズ』が問う“終わらない過去”との向き合い方 31年前の謎は深まるばかり

『田鎖ブラザーズ』が問う復讐の連鎖

深まる31年前の謎と「終わらないもの」を抱える生き方

 「どうするの? もし津田を見つけたら」と、晴子(井川遥)が兄弟にたずねる。やはり晴子は、1995年4月26日に起きた兄弟の両親殺害事件で切りつけられた、もう一人の被害者だった。もっとも苦しい瞬間を一緒に過ごしてきた真と稔、そして晴子が、茂木(山中崇)の営む「もっちゃん」に集まる。時効を迎えて「もう終わった」と思いたかった晴子。でも、そうできなかった兄弟。再び集まったそのタイミングで、追い続けてきたノンフィクション作家・津田雄二(飯尾和樹)が見つかったという一報が入る。

 しかし、津田はすでに余命僅かな体で、昏睡状態だった。事件当日にはアリバイがあるという。それでも、事件を知る重要人物であることは間違いない。「夜にまたくる」と言ったのはなぜなのか。そして、本当に津田は夜に来たのか。

 事件の輪郭が見えるほどに、謎は深まるばかりだ。兄弟の父・朔太郎(和田正人)が、勤務先の工場長・辛島貞夫(長江英和)と「よろしくお願いします」「わかってる」という会話を交わしていたのは、一体なんのことだったのか。辛島の後輩である茂木の描写にも、どこか違和感が残る。仕入れ業者が残した領収書を見ると、常習的に水増しされていることが窺えた。これも事件に何か関係があったのだろうか……。

 今年も4月26日がやってくる。もちろんこの物語はフィクションだが、あの事件が起きなかった世界を想像せずにはいられない。悲しみが絡みついた日付を抱えて生きる人は、現実にもいる。遺された人にとって、その記憶とどう向き合うかは簡単な問題ではない。『田鎖ブラザーズ』は、「終わらないもの」を抱える人たちに、生きやすい真実と向き合わせる物語なのかもしれない。

■放送情報
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、宮近海斗、和田正人、飯尾和樹(ずん)、長江英和、山中崇、仙道敦子、井川遥、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗「愛々」(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
プロデュース:新井順子
撮影監督:宗賢次郎
編成:高柳健人、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TAGUSARI_bros/
公式X(旧Twitter):@tagusari_tbs
公式Instagram:tagusari_tbs
公式TikTok:@tagusari_tbs

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