『風、薫る』原田泰造が体現する“寄り添う”牧師像 小日向が怪しすぎる人物でつらい

『風、薫る』原田泰造が体現する牧師像

 『風、薫る』(NHK総合)第17話では、進路選択に悩むりん(見上愛)と直美(上坂樹里)の姿が描かれた。

 捨松(多部未華子)からトレインド・ナースの養成所へ入らないかと誘われたりんと直美。在学期間は2年で寮生活。授業料は働きながら返すことができ、月30円という俸給はマッチ工場3年分の稼ぎに相当する。今でいう医療職の高度人材である。

 りんは美津に養成所の話をするが、反応はかんばしくない。トレインが機関車であると知っている美津であるが、わざとなのか、ナースは那須と関係があるのかと、すっとぼけたようなことを言う。「ナースになれば女でも自分の力で生きていける」と話すりんに、美津は「恥を知りなさい」「一ノ瀬家の娘が病人の面倒を見る下女になるなど」と言い、論外という態度を示した。

 美津が反対する理由は大きく二つある。一つは、看病が身分の低い人の仕事だと思われていたことだ。第1週で、コレラにかかった病人の家に入る下男を、村の人々は不潔なものを見るような目で見ていたことが思い起こされる。家族以外の者の面倒を見ることは、この時代の常識の外にあったのだろう。

 もう一つは、医療に対する無知だ。美津は、熱を出した環(宮島るか)の首にネギを巻く。昔からある民間療法だ。西洋医学が行きわたっていない時期に、科学的な根拠があり、臨床上の知見に基づいた看護という概念が、そもそも前提として共有されていなかったことがうかがわれる。

 りんも捨松の言葉をただ鵜呑みにしているわけではなく、自分なりの体験に基づく考えがあった。コレラで病没した信右衛門(北村一輝)を、もしトレインド・ナースが看病していたら、父は助かったのではないか。幼い娘を抱えるりんには、自分の力でできる仕事が魅力的に映っただろう。

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