『風、薫る』見上愛×上坂樹里の主人公は令和ならでは 対照的な2人が探す「This is my life」

第1話のりんと妹・安(早坂美海)の双六遊び中の会話が象徴しているように、第3週を終えた現時点の主人公たちの人生設計には、当時の常識である「女の双六の上がりは奥様である」という理論が念頭にある。第12話で「どんな手を使ってでも生きてやろう」とする直美が、そのために「まともな結婚」をすることが私の「This is my life」だと宣言する描写がまさにそうだ。
でも、あくまで「戦略的に」自分の人生に「結婚」を取り入れようとしているということが、本作の主人公たちの面白いところだろう。
何より第1週終盤において、りんが初恋の人・虎太郎(小林虎之介)ではなく、会ったことのない18歳年上の亀吉(三浦貴大)の「奥様になる!」と宣言したのは、偶然出会った18歳年の差婚の大山捨松と夫・巌(髙嶋政宏)の対等な関係に惹かれたからであり、そこに「こうありたい自分」を見たからだろう。

そして第15話で捨松自身が、自身の結婚を「ゴールではなく、その先の“my life”、私の人生を生きるための手段」であると直美に解説して見せることで、当時のりんがぼんやりと心に抱いていた捨松への憧れの内訳が言語化されたのだ。
しかし、2人の主人公・りんと直美の物語は、正反対の女性2人を描いているようで、不思議とリンクしていて面白い。
栃木県那須で、偶然捨松の馬車にぶつかり運命の出会いをするりん。片やチャンスを掴むため、自ら捨松の馬車の前に飛び出す直美。のほほんとしていたら「運命」が勝手に転がり込んでくるタイプのりんに対し、「運命」は自分で作るタイプの直美。そんな対比に見えるが、前述したように第1週の時点でりんは「こうありたい自分」を大山夫婦の関係性の中に見出しており、一筋縄ではいかない。

また、第2週後半の展開も見事な対比だった。インドに旅立つメアリー(アニャ・フロリス)についていこうとするのを「逃げ」だと指摘される直美の姿。一方りんは、「私が魔法で外国へと連れていって差し上げましょうか」という卯三郎の言葉に対し、外国に行くのではなくこの国そのものの構造を変えてくれと返す。この対比は、「士族」という出自に関係なく、卯三郎に見込まれるだけの底知れぬ力をりんが持っていることの証明でもあった。
第4週の予告では、いよいよ「トレインドナース」という言葉が登場した。しっかりと2人の人生が交差したその先には、現代の私たちの人生にも繋がるヒントが隠されているかもしれない。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















