岡田将生×染谷将太と過ごす金曜の始まり 『田鎖ブラザーズ』“わからない”が加速する面白さ

反転する「真実」、被害者と加害者が入れ替わる瞬間

“元”牧村の死は、自転車で走行中に車にはねられたことが原因だった。しかし、身分を偽っている事情ゆえに警察や病院に連絡することもできず、自宅で亡くなったのだとわかる。そのとき車を運転していた野上(近藤公園)も、“元”牧村が通報を拒んだことで仕方なくそのままにしていたのだという。そう語る野上は、不慮の事故に巻き込まれた“被害者”のようにも見えた。それでも交通事故を通報しなかったこと、結果的に“元”牧村を死に至らせたことから、警察へと連行されていく。

こうして両親の殺人事件をベースに、1話完結の事件を解決していくのだな……なんて視聴者の予想を大きく裏切ってきたのが、ラスト5分の急展開だ。真のもとに、兄弟の幼なじみのような存在である晴子(井川遥)から一本の電話が入った。晴子は質屋の店主だが、もともとは新聞記者であり、その人脈を活かして情報屋という顔も併せ持つ。晴子が見つけた新たな事実とは、“元”牧村の本名が大河内であること。身分を偽っていたのは、2年前に高校生を自殺に追い込んだという過去がネット上に晒されたため。そして、その自殺した高校生は、野上の長男だったということ。
隠されていた事実によって、被害者と加害者が一気にひっくり返る。もしかしたら不慮の事故ではなく、意図的に轢き殺そうとした殺人事件だったのではないか。掴んだと思っていた真実は、一瞬で幻に変わる。それが、野上を見つけたと思ったら、トラックが通過すると同時に姿が消えてしまう様子に表されているようだった。

目の前にある事実は、あまりにも脆い。自分にとって死角になっていた事実が明らかになると、真実だと思っていたものが大きく揺らぐ。その危うさを突きつけられると同時に、真と稔が追う両親殺害事件の真実も、一気にひっくり返るのではないかと震えた。
兄弟が追う謎のノンフィクション作家・津田(飯尾和樹)の存在が、事件に関わっているのではないかと思われるが、それすらも真実の断片に過ぎないのかもしれない。兄弟を支えてきた町中華「もっちゃん」の店主・茂木(山中崇)がどんな思いで事件のニュースを眺めていたのか、まだ語られていない思いもあるだろう。回想シーンに出てきた当時の担当刑事が、真の上司・小池(岸谷五朗)に重なって見えたのは、思い込みだろうか。果たして、何が真実なのか。「わからない」が加速する一方だ。そして、本当に「わかった」状態になったとき、それは時間を動かすことになるのだろうか。その答えに触れたとき、この物語はきっと、サスペンスという言葉だけでは足りない作品になるはずだ。
■放送情報
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、宮近海斗、和田正人、飯尾和樹(ずん)、長江英和、山中崇、仙道敦子、井川遥、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗「愛々」(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
プロデュース:新井順子
撮影監督:宗賢次郎
編成:高柳健人、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TAGUSARI_bros/
公式X(旧Twitter):@tagusari_tbs
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