『タツキ先生は甘すぎる!』町田啓太が隠し持つ一面 現代に響く“逃げてもいい”メッセージ

多かれ少なかれ、誰にでも他人には見せない顔がある。『タツキ先生は甘すぎる!』(日本テレビ系)第2話では、タツキ(町田啓太)が隠し持っている顔が垣間見えた。
過去の経験から学校に行けない子どもたちの支援に意欲を持ち、フリースクール「ユカナイ」に就職するも、教室長であるタツキの自由すぎる方針に戸惑いを隠せないしずく(松本穂香)。そんな中、小学5年生の杉谷朔玖(高木波瑠)が入会を希望し、面接にやってくる。父・紘一(竹財輝之助)や担任の先生いわく、友達とのトラブルはなく、勉強も運動も得意でクラスの人気者とのこと。これといった問題は見当たらなかった。

そういうとき、タツキは決まって子どもたちと一緒にお絵描きやコラージュをする。ただの遊びではない、第1話でも少し触れられていた“アートセラピー”だ。アートセラピーとは、さまざまな創作活動を通して自己理解を深め、心の癒しへと繋げていく心理療法の一つで、自分の気持ちを言葉にして伝えるのが難しい子どもの支援に用いられることが多い。朔玖は武士とサッカー選手が戦うコラージュを作成。その中で一人だけ逆向きで、戦いから逃げているように見えるサッカー選手がいた。
「学校、好きですね〜」とタツキに白い目で見られながらも、しずくが学校に事情を聞きに行くと、朔玖が学校に行けなくなったのは運動会の練習が始まった頃だと判明。さらにはユカナイ主催のアクティブデーで最初は他の子どもたちと一緒に体を動かしていた朔玖が、ダンスの時間になった途端、途中退席してしまう。朔玖の足を学校から遠ざけていたのは、運動会のプログラムの一つであるダンスだった。

中学校に次いで小学校でも体育の授業に組み込まれるようになったダンス。上手く踊るには様々なスキルが必要とされるため、苦手な人も多いのではないか。ただ、朔玖の場合はダンス自体が嫌というよりも、ダンスができない自分をみんなに見られることを恐れていた。なまじ器用で何でもそつなくこなしてしまうが故にあらゆる場面で周りから期待され、それに応えようとしているうちに“完璧キャラ”から抜け出せなくなってしまったのだろう。思えば筆者も子どもの頃、一度固定してしまった自分の“キャラ”からはみ出さないように必死だった。

自分は完璧で強くあらねばならないと思い込んでいる朔玖に、タツキは彼が好きな織田信長の話を語り聞かせる。1570年、朝倉義景を討つため越前に侵攻する最中、浅井長政の裏切りによりピンチに陥った信長は撤退を決断した。不利な状況に追い込まれたときは、思い切って逃げるのも勇気であり、強さだ。「朔玖もなれるよ! 信長に」とタツキに背中を押された朔玖は、運動会のダンスに参加する道を選んだ。だが、代わりにダンスが苦手な自分をさらけ出し、友達に振り付けを教えてもらう。ダンスができないのも、戦いから逃げるのも、歴史が好きなのもキャラじゃない。朔玖が逃げたのは、そんなふうに自分をがんじがらめにしていた自分自身から、なのかもしれない。お面の裏に書いた信長を表に返し、懸命に踊る朔玖の姿は人一倍輝いていた。
タツキが子どもたちに「学校は行かなくてもいい」「逃げてもいい」と人によっては甘すぎると感じる言葉をかけるのは、その心を守るためだ。それとは真逆のメッセージばかり溢れる社会で、子どもたちは逃げ場を失い、追い詰められた末に自ら命を絶ってしまうこともある。そのことを誰よりも実感しているのはタツキではないだろうか。前回のラストで元妻・優(比嘉愛未)から、息子の蒼空(山岸想)が飛び降りたという連絡を受けたタツキ。蒼空は命に別状はなかったが、大怪我を負い、病院に駆けつけたタツキは優に追い返される。回想シーンでは、黒髪でスーツを着たタツキが部屋に閉じこもっている蒼空を無理やり連れ出そうとする姿も。見た目はもちろんのこと、隣に寄り添って子どもの言葉を待つ今のタツキからは想像もできない荒療治に衝撃を受けた。そんなタツキがお面の裏に書いたのは、泣いている自分。もしかしたら、いつも太陽のような笑顔を浮かべているタツキの心の中には雨が降っているのかもしれない。
■放送情報
『タツキ先生は甘すぎる!』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:町田啓太、松本穂香、藤本美貴、寺田心、三遊亭好楽、比嘉愛未、江口洋介
脚本:徳尾浩司
演出:鈴木勇馬
音楽:得田真裕
主題歌:福山雅治「拍手喝采」(アミューズ/Polydor Records)
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
チーフプロデューサー:荻野哲弘
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tatsuki/
公式X(旧Twitter):https://x.com/tatsuki_ntv





















