“福くん”からの鮮やかな脱却 鈴木福が『惡の華』で披露した圧倒的なギャップと役者魂

それにしても鈴木福は、心の奥に「深い葛藤」を抱える人物を演じるのが実にうまい。映画『ヒグマ!!』では、父の自死をきっかけに闇バイトへ手を出す青年・小山内を怪演。序盤は眉をひそめ、怯えた表情を浮かべているものの、やがて物語が進むにつれて小山内は自分の置かれた状況を少しずつ受け入れ、覚醒していく。鈴木が心の揺れを丁寧に演じるからだろうか。小山内が次第に目を光らせる様子には、説得力が宿っていた。
『惡の華』で鈴木福が見せる「心の揺れ」は、これまで以上にディープな領域へ踏み込んでいる。春日は体操着を盗んでしまう一方で、その罪悪感に押しつぶされそうになり、自分を激しく責めてしまうピュアな少年だ。しかし同時に、「体操着を盗んで匂いをかぎたい」という倒錯した衝動も抱えている。その二面性を、清潔感があり生真面目な印象の鈴木が演じるからこそ、ギャップが際立ち、物語に独特の面白さが生まれている。

やがて仲村から「ずぶずぶのど変態じゃないか」と責められ、春日は眉をひそめて「違う」と必死に否定しながら狼狽える。さらに春日は、仲村に服を脱がされ、ブリーフ一丁の姿にされてしまう。その後、佐伯の体操着を着せられた春日は、仲村から「これが本当の春日君でしょ」と告げられる。その瞬間の春日の表情は、まるで憑き物が落ちたようにどこかスッキリしていて、彼の中で何かが変わったことを感じさせた。
春日は倒錯した衝動を抱えながらも、どこかピュアで、気づけば応援したくなる存在だ。そう感じられるのは、演じる鈴木福が「春日という少年は、いいやつだ」と信じて向き合っているからかもしれない。
TVerで配信中のインタビュー動画『ドラマ『惡の華』放送直前独占インタビュー』で、鈴木は「春日君は、大人なのかなと思う。素直で正直でまっすぐだから、誰かの心を動かせるのかも」と、言葉を丁寧に選びながら語っていた。そう語る鈴木の澄んだ瞳からは、春日の内面を深く理解しようとする姿が垣間見えた。

第1話のラストでは、仲村から突然「私と、契約しよう」と持ちかけられ、春日は戸惑いを隠せない。第2話の予告では、思いがけず佐伯との「デート」にこぎつけ、嬉しそうに微笑む春日の姿が映し出される。
一方で、仲村は春日にじろりと鋭い視線を向けていた。どうやら、ただのハッピーエンドでは終わらなさそうだ。春日は、無事に佐伯とのデートを楽しむことができるのか。恋の行方から、ますます目が離せない。
■放送情報
『惡の華』
テレ東ほかにて、毎週木曜24:00〜24:30放送
BSテレ東にて、毎週水曜24:00~24:30放送
ディズニープラス スターにて、アジア見放題独占配信
TVer、ネットもテレ東、Leminoにて見逃し配信
出演:鈴木福、あの、井頭愛海、須藤千尋、中西アルノ(乃木坂46)、長谷川朝晴、中越典子、紺野まひる、堀部圭亮、雛形あきこほか
原作:押見修造『惡の華』(講談社『別冊少年マガジン』所載)
脚本:目黒啓太、たかせしゅうほう
監督:ヤングポール、井口昇
プロデューサー:漆間宏一(テレ東)、涌田秀幸(C&Iエンタテインメント)
主題歌:ano「愛晩餐」(トイズファクトリー)
音楽:たかはしほのか(リーガルリリー)
エンディング:majiko「クライクライ」(UNIERA / Bandai Namco Music Live Inc.)
制作:テレビ東京、C&Iエンタテインメント
製作著作:「惡の華」製作委員会2026
©「惡の華」製作委員会2026 ©押見修造/講談社
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/akunohana/
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