“福くん”からの鮮やかな脱却 鈴木福が『惡の華』で披露した圧倒的なギャップと役者魂

『惡の鼻』“福くん”からの鮮やかな脱却 

 現在放送中のドラマ『惡の華』(テレ東系)で、春日高男役の鈴木福の演技が視聴者の間で話題となっている。

 とくに大きな盛り上がりを見せていたのが、好きな子の体操服を盗んで匂いをかぐという、 思春期の歪んだ衝動をそのまま切り取ったようなシーンだ。さらに、仲村佐和(あの)に服をはぎ取られ、ブリーフ一丁のままブルマをはかされる場面では、「あの福くんが……」と、筆者も思わず目を丸くしてしまった。SNSには「祝・鈴木福くんブルマ履いた」「鈴木福さんのブリーフ&ブルマ姿……」と驚きと称賛が入り混じった声が並び、彼の「新しい顔」に多くの視聴者がざわめいた。

 鈴木が一躍注目を集めたのは、小学1年生で出演した『マルモのおきて』(フジテレビ系)で、高木護(阿部サダヲ)の親友が男手ひとつで育てていた双子の姉弟のひとり、笹倉友樹を演じたときのことだ。友樹は、父を失った寂しさや不安を抱える少年で、鈴木は幼いながらもその複雑な感情を丁寧に表現してみせた。

 時には護に叱られ、しゅんと肩を落として「ごめんなさい……」とつぶやく姿も、思わず守ってあげたくなるほど愛らしく、その姿は十数年経った今でも、しっかりと記憶している。

 あれから十数年が経過し、鈴木福は凛々しい青年に成長。今では俳優としての活動に加え、ニュース番組のコメンテーターなど、多方面へと活躍の場を広げてきた。近年では『仮面ライダーギーツ』(テレビ朝日系)でジーン役を演じ、クールでどこか影を帯びた佇まいを見せたことも記憶に新しい。

 鈴木の魅力は、長年のキャリアで培われた安定感のある佇まいと、経験に裏打ちされた丁寧な演技にある。

 ドラマ『惡の華』で鈴木福が演じるのは、詩集を心の支えに生きる中学生・春日高男だ。現在21歳の鈴木だが、どこか怯えたような眼差しや頼りなげな佇まいは、思春期の鬱屈を抱えた少年そのものだった。

 春日はクラスメイトの佐伯奈々子(井頭愛海)に密かに思いを寄せているものの、内気な性格ゆえに目を合わせることすらできない。彼女から視線を向けられた瞬間、慌てて机の下で手を震わせながら詩集をめくる姿は、まさに「内気な少年」のリアルが滲んでいた。

 やがて、ひょんなことから佐伯の体操着を盗んでしまう場面を仲村佐和(あの)に目撃され、「春日君。私ね、見てたんだよ。佐伯さんの体操着を盗むところ」と責められてしまう。

 その瞬間、目を大きく見開き、下まぶたがぴくりと震える春日。その細やかな反応には、私も思わずどきりとした。下まぶたを動かす演技は、そもそも簡単ではない。下まぶたの動きで「心の葛藤」を伝えてみせた鈴木の表現力は、息をのむほど見事だった。

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