『失恋カルタ』が描く“カミングアウト”の意義 セクシュアリティとしての異性愛を問う

『失恋カルタ』が描くカミングアウトの意義

 ピースの又吉直樹が、朗読会で読むものとして書いた『失恋カルタ』。その句を原案に制作されたオリジナルラブストーリーが、ドラマ『失恋カルタ』(MBS/TBS)である。梅澤美波、西垣匠、加藤小夏をトリプル主演に迎え、それぞれが直面する恋の問題を描きだしてゆく。

 第1話では梅澤演じる夏野千波が彼氏から別れを告げられ、参列した結婚式で新婦である友人が式から逃げてしまうという事件を描く。千波と大学のボードゲームサークルで出会った西垣演じる馬路光と、加藤演じる野田彩世は、3人で集まってはボドゲに興じながらもそれぞれの恋愛観をだらだらと語り合っていた。

 第2話では光にフォーカスが当てられる。ライターである光は同性の恋人・陸(伊藤絃)との間に見えない壁を感じていた。光の両親との食事会に陸を誘うものの断られてしまったり、登壇したトークイベントからは逃げるように立ち去られてしまったりと、陸は光との関係をオープンにしな(できな)かった。ゲイであることを公表している光は、陸の感情を理解しようとしつつも、自分が陸のなかに存在しないような感覚に悶々とした思いを募らせてゆく。すれ違いが積み重なる中、光はある夜、やるせなさを抱えたままひとりで家を出てしまい——。

 西垣は『みなと商事コインランドリー』(2022年/テレ東系)でもカミングアウトしない恋人に思い悩む香月慎太郎、通称シンというキャラクターを演じてきた。シンは、第2シーズン『みなと商事コインランドリー2』(2023年/テレ東系)第7話で、とうとう恋人がカミングアウトに踏みきったことに「うれしかった」と吐露する。カミングアウトをする/しないで悩む『失恋カルタ』での光という役柄には、ついシンを思い出してしまった視聴者も多かっただろう。

 しかし光は『みなと商事コインランドリー』のシンとはちがう結末をたどる。第2話ラスト、先に目を覚ました陸はベランダで煙草を吸っている。あとから起きてきた光はその姿をうしろから眺めているのだが、2人は窓という透明な壁に隔たれている。この窓が象徴するように、2人はお互いを見ることはできても、決定的なちがいによって仕切られ、同じ空間にはいられない。

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