『お別れホスピタル2』が問う“生き続ける”意味 答えのない問いを考えるための45分間に

『お別れホスピタル2』が問う“生きる”意味

 私事だが、先日曽祖母が101歳の誕生日を迎えた。今まで大きな病気をしたことはなく、正月にはお餅を何個も平らげ、日本酒も少し飲む。頭も冴えていて、昔と変わらず口達者だ。また私の母が看護師であるため、本人の希望もあって慣れ親しんだ自宅で介護を受けている。曽祖母を見ていると、果たしてどれくらいの人がこんな余生を送れるのだろうかと考えずにはいられない。

 同じ100歳でも、今作から登場する安斎(伊東四朗)は傾眠と部分的な認知症を患っており、療養病棟に入院している。一方で、現役議員だった頃のように毎朝ベッドで演説し、見舞いにきた家族は呆れつつも、その変わらぬ姿にどこかホッとしているようだ。ひとつ気がかりだったかつての愛人・美枝(渡辺えり)が幸せに生きていることも確認し、辺見や広野の優しい嘘のおかげで、美しい思い出をあの世に持っていける安斎は、ある意味で幸せ者なのかもしれない。

 シーズン1にも登場したヨシ(根岸季衣)はもともと厳格な教師だったが、認知症を発症し、今ではケアワーカー・南(長村航希)に恋する乙女のようだ。「年取るとね、だんだん自由になっていくの」と言っていたヨシ。認知症になった今のヨシが本来の姿なのかはわからないが、少なくとも彼女は幸せそうに笑っている。

 自分が望む最期を迎えられるとは限らないのが世の常だ。末期のすい臓がんで入院している桜田(YOU)は元ベストセラー作家で、テレビでも一世を風靡した人だった。しかし、今は見舞いに来る人もおらず、ひとりぼっちの病床で毎日襲い来る痛みに悶え苦しんでいる。加えて、仕事上のパートナーで、唯一の理解者でもあった秋山(広岡由里子)を最悪の形で裏切ってしまった罪を背負っている桜田。罵声を浴びせられるよりも辛い、無関心という名の罰を受けて、彼女はいよいよ生きる気力をなくしたようだ。

 辺見の妹・佐都子(小野花梨)は身体こそ元気なものの、中学時代のイジメが原因で心に深い傷を負っている。死にたい気持ちが消える日まで、その日、その日を必死に生き永らえようとしているが、母・加那子(麻生祐未)から寄せられる期待の重さに押し潰されそうになることもある。

 生きている限り、誰にでも等しく朝は訪れる。それは人によって「希望」にも「絶望」にもなり得るのだと、この45分間に実感させられた。

 急速な少子高齢化の進行に伴う医療・介護体制の逼迫や社会保障費の増大が課題となっている現代。近い将来、命の選別を迫られるような現実に直面するかもしれない。安楽死や尊厳死の法制化を求める声も年々強まっている印象を受ける。何が正しくて、何が間違っているか。決めつける前に考えたい。このドラマが提示する、さまざまな可能性を前にして、自分がどう生きて、どう死を迎えたいかを。

■放送情報
土曜ドラマ『お別れホスピタル2』
NHK総合にて放送
前編:4月4日(土)22:00~22:45
後編:4月11日(土)22:00~22:45
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信
出演:岸井ゆきの、松山ケンイチ、内田慈、仙道敦子、国広富之、円井わん、長村航希、山本裕子、きたろう、根岸季衣、田村泰二郎、麻生祐未、小野花梨、丈太郎、伊東四朗、渡辺えり、YOU、広岡由里子、阿川佐和子、柄本明
原作:沖田×華
脚本:安達奈緒子
音楽:清水靖晃
演出:柴田岳志
制作統括:小松昌代(NHKエンタープライズ)、谷口卓敬(NHK)
写真提供=NHK

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