『リブート』は日曜劇場を“再起動”させた 敵味方問わず貫かれた“自己犠牲”の精神

『リブート』は日曜劇場を“再起動”させた

 しかし『リブート』では、悪役にも愛すべき家族がいて、必死で守ろうとする姿が描かれる。最初にそのことに気付いたのは第6話で、合六が自宅で妻と子どもと和やかに話している場面だ。子どもと妻を大切にする合六の姿を観た時は妙な違和感があった。またこの場面では合六の妻・陽菜子(吹石一恵)が夫の仕事の全貌は知らないが、彼を信頼し後ろから支えようとしている姿も描かれていた。

 最終話、「この国の革命のために生き残るか、家族のために罪を認めて死刑を受け入れるか、どちらか選んでください」と真北監察官から言われた合六は「家族を助けてください」と懇願する。冷酷非道な悪党だった合六もまた、早瀬と同じように家族を守ろうとする一人の父親だったという結末には、不思議な温もりを感じた。また、早瀬が正体を隠して息子や母親に会いに行く場面が劇中では繰り返し描かれたが、儀堂に扮した早瀬が息子と話す場面は殺伐とした描写が多い本作の中で、一服の清涼剤となっていた。一方、一香に顔を変えた夏海は、正体を隠して入院している一香の妹・綾香(与田祐希)に会いに行き、殺された一香の意思を継いで綾香の手術費用を捻出しようとしていた。

 最終話では、実は綾香は姉が別人だと気づいていたことが判明するのだが、綾香は姉のフリをして自分を支えてくれた夏海に感謝する。他のドラマで見たらあざといシーンと思うかもしれないが、素直に感動できたのは、本作が描く世界が、あまりに過酷で苦しいからだろう。

 脚本の黒岩勉は、本作の肝といえる「リブート」を、物語を盛り上げるアイデアとして器 用に使いこなしていた。死んだはずの本物の儀堂歩が再登場する場面や、一香の正体が夏海だったと判明した時は、こんな面白い展開があるのかと驚いたが、手に汗握るクライムサスペンスとしての面白さの横には、家族のために生きようとする人々の温かいヒューマンドラマが常に存在していた。

 裏社会の内幕を描いていた本作は、簡単に人が殺され、埋められていく殺伐とした物語だった。その意味でこれまでの日曜劇場作品からは、だいぶ逸脱した内容だったが、それでも日曜劇場らしかったと思うのは、敵も味方も家族のことを第一に考えて行動する自己犠牲の精神が描かれていたからだろう。

 この極端な両輪でバランスをとることで、本作は日曜劇場をリブートしたのだ。

『リブート』の画像

日曜劇場『リブート』

妻殺しの濡れ衣で逮捕されたパティシエの早瀬陸は、悪徳刑事・儀堂歩に追い詰められ、真犯人を見つけ出すため、家族と過去を捨てて儀堂の顔に変わり“リブート”を決意する。

■配信情報
日曜劇場『リブート』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉(King & Prince)、蒔田彩珠、中川大輔、藤澤涼架、与田祐希、上野鈴華、藤田ハル、矢崎滉、野呂佳代、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、伊藤英明、山口紗弥加、池田鉄洋、酒向芳、黒木メイサ、原田美枝子、北村有起哉
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」(TOY'S FACTORY)
プロデュース:東仲恵吾
協力プロデュース:國府美和
演出:坪井敏雄、田中健太、元井桃
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/REBOOT_tbs/
公式X(旧Twitter):@reboot_tbs
公式Instagram:reboot_tbs
公式TikTok:@reboot_tbs

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