『東京P.D.』はなぜ“異色”の刑事ドラマに? 福士蒼汰らの抑制された演技が生むリアリティ

『東京P.D.』はなぜ“異色”の刑事ドラマに?

 人間の強い感情と身体とは、多くの場合において連動するものだ。たとえば、怒ったときや悲しいとき、その感情は身体に出る。目に見えるかたちであらわれる。本作では分かりやすい感情表現をセーブしているからこそ、登場人物たちの身体の動きも自然と控えめなものとなり、物語は淡々と進行してきた。刑事や警察組織に焦点を当てたほかの作品からすると、地味な作品だと映るかもしれない。とくに今期の場合は、『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日)や『リブート』(TBS系)といった、刑事/警察組織を描いたエモーショナルでドラマチックな作品が並んだのだ。

 この並びの中で『東京P.D. 警視庁広報2係』が獲得したのは、圧倒的な“リアリティ”だろう。劇中で描かれる事件や問題は、いずれも私たちが生きる現実世界のものと地続きだ。警察官の不祥事の隠蔽や実名報道の是非など、実社会でも問題視されているものである。

 これに立ち向かう俳優たちが、もしも現実離れしたフィクショナルな演技をしていたならば。もしも、エモーショナルでドラマチックなパフォーマンスを披露してきたならば。劇中の出来事はすべて、「あくまでもフィクション」だと片付けられてしまっていたことだろう。けれども俳優たちの演技が地に足のついたものだから、すべての出来事が生々しく立ち上がり、私たちの前に迫ってきた。そう、俳優の抑制の効いた表現によって、物語は強固なリアリティを獲得しているのだ。

 いくら「広報課」にフォーカスしているからといっても、もう少しくらい俳優のフィジカルに頼る手もあったと思う。あるいは、もう少し分かりやすい感情表現を取り入れただけで、本作のエンターテインメント性は格段に上がったかもしれない。しかし、『東京P.D. 警視庁広報2係』ではそれをしない。主演の福士を筆頭に、緒形直人、吉川愛、金子ノブアキといった演技者の誰もが、同じレベル感で自らの表現の質感をコントロールし続けている。繊細で骨太な物語の展開は、当然ながら脚本家陣の力によるものだ。けれどもこれが具体的に立ち上がっているのは、やはり本作に集う演技者たちがあってこそ。座長・福士蒼汰が率いる座組の力である。

『東京P.D. 警視庁広報2係』の画像

東京P.D. 警視庁広報2係

警視庁記者・報道記者を経験した者が原案者となり、リアリティーにこだわり、広報という立場で事件解決に向けて奔走する姿を、事件発生時のメディアの裏側とともに描く。

■放送・配信情報
『東京P.D. 警視庁広報2係』
season1:フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
season2:FODにて配信予定
出演:福士蒼汰、吉川愛、正名僕蔵、竹財輝之助、太田莉菜、谷原七音、本多力、緒形直人ほか
脚本(ライターズルーム方式):阿部沙耶佳、阿部凌大、島崎杜香
オープニング主題歌:syudou「暴露」(syudou商店 / A-Sketch)
企画・原案・プロデュース:安永英樹(フジテレビ)
プロデューサー:中村亮太
演出:岩田和行、植田泰史ほか
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/tokyopd/
公式X(旧twitter):@tokyopd_fujitv
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