『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の立役者 ライアン・ゴズリングのハンサムオーラの凄み

これまでのキャリアのハンサム仕事は、たとえばハードボイルド映画『ドライヴ』(2011年)が忘れがたい。サソリの柄のスカジャンを羽織り、寡黙でタフな殺し屋を演じたのだが……このキャラはとにかくカッコよかった。世が世なら、『トップガン』(1986年)でティアドロップサングラスとフライトジャケットが大流行したように、街中でサソリのスカジャンを目撃する社会になっていてもおかしくなかっただろう。
しかし、ただカッコいいだけで終わらないのがゴズリングの凄いところ。『バービー』(2023年)では一転して、行き過ぎたハンサムはギャグになると示してくれた。「I’m Just Ken」を歌い上げる姿は、まさにハンサムオーラの使い手としての真骨頂だ。そしてハンサムオーラを控えめにした作品でいうと、個人的には『ラースと、その彼女』(2007年)を激しく推薦したい。この映画でゴズリングが演じているのは、気の優しい田舎の青年だ。そして彼はダッチワイフを本物の恋人だと言って周囲に紹介し……。あらすじからも分かるように、この映画では完全にハンサムオーラを消している。このようにゴズリングはハンサムオーラを自由自在にコントロールできるのだ。『グレイマン』(2022年)で、“どこにでも溶け込める”ことが特技の殺し屋を演じたのも必然だと言えるだろう。
そして本作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』でも、ゴズリングのハンサムオーラは自由自在だ。冒頭の教壇に立って子どもたちに科学の授業を教えているところでは、主人公っぽさビンビンのハンサム感。一歩間違えば「お前のような教師がいるか」となりそうなところだが、そのギリギリのところでゴズリングはバランスを取る。宇宙で思わぬ相棒と出会ってからは、チャーミングでユーモラスな中年男と化す。一方で、回想パートが徐々に過酷さを増していくと……今度は悲劇的な、ごくごく平凡な生身の人間を演じて見せる。そして一か八かの勝負を仕掛けるところで、ハンサムオーラを全開にしてキメてみせる。時間軸もシチュエーションもバラバラで、シーンごとにトーンも全然違うのに、ちゃんと一貫したキャラクターなっているうえに、しかもカッコいいのは離れ業だ。もちろんフィル・ロード&クリストファー・ミラー監督の手腕もあるが、ゴズリングの能力に依る部分が大きいだろう。
本作には様々な見どころがあり、正直1本の記事では語り切れない。たとえばロッキーの愛らしさについてもあれこれ書きたいが、まずは本作のコアを見事に演じ切ったゴズリングを賞賛したい。お見事!
■公開情報
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
全国公開中
出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー
監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
日本語吹替:内田夕夜、三石琴乃、沢城みゆき、佐倉綾音、三宅健太、山路和弘、園崎未恵、井上悟、田中美央、高島雅羅、林真里花、横堀悦夫、間宮康弘、新井笙子、神戸光歩、柚木尚子、雪村マイ、金城慶、渡辺アキラ、木内太郎、花江夏樹
脚色:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(早川書房刊)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://ProjectHM.movie
公式X(旧Twitter):https://X.com/ProjectHM_movie






















