新田真剣佑だから体現できたゾロの真髄 実写版『ONE PIECE』で見せた繊細な“瞳の演技”

『ONE PIECE』新田真剣佑の繊細な瞳の演技

 新田真剣佑のアクションは、振りが大きいのに無駄がない。そのため、戦闘シーンをストレスなく楽しめるのも、大きな魅力のひとつだ。

 『るろうに剣心』で雪代縁を演じた際には、登場シーンで電車の上をひらりと舞うように動く姿があまりにも華麗で、まるでムササビのようにも見えたほどだ。アクションに定評のある剣心役・佐藤健とのバトルシーンでは、双方の動きにキレがあり、思わず手に汗握る迫力だった。

 新田真剣佑の魅力は、アクションだけにとどまらない。目や眉、口元といったパーツが大きいのも相まってか、わずかな心の揺れを表情で丁寧に伝えられるのも強みだ。だからだろうか。セリフのないシーンでも、彼が演じる人物が「いま何を思っているのか」が、ふっと滲み出るように感じられるのだ。

 ゾロもまた、アクション以外の動きは驚くほど「静か」だ。普段は口数が少なく、必要以上に愛想もない。けれど、大きな瞳がじっと何かを考えるように揺れたり、ふと棘が抜けたように柔らかく緩む瞬間に出会うと、ゾロの内側にそっと潜む優しさに触れたような気がしてくる。

 新田の演技に惹かれてしまうのは、こうした人間らしさが、何気ないシーンにほんのりと滲み出るからなのだろう。

 私たちは、相手の心が見えないと不安になったり、疑念を抱いたりするものだ。けれど、新田の演技は何気ないシーンでも、激しいアクションでも、一切手を抜かない。丁寧にひとつひとつのシーンを表情・体の動きなどを駆使して体現するからこそ、どの瞬間も目が離せなくなるのだ。

 ゾロはアクションシーンの迫力だけでなく、「不器用さ」や、強さの奥に潜む「優しさ」も魅力だ。そもそも彼がルフィの仲間になったのも、傍若無人な海軍大佐の息子から女の子を助けたことがきっかけだった。

 そんなゾロは、敵には大きな瞳で鋭い睨みをきかせる一方で、戦意を持たない者や弱者に対しては、その険しい表情がふっと緩む自分より弱そうな女性を前にすると、その目の強さがふっと緩む。その優しさが仇となり、十字架の中に小刀を隠していたシスターに油断してしまうことも……。

 もし、ゾロが「圧倒的に強く、傍若無人なだけのキャラクター」だったら、ここまで多くのファンから愛されただろうか。強さの隙間からこぼれる優しさや、つい油断してしまう「人間らしい隙」があるからこそ、私たちは彼を目で追い、気づけばその背中を応援せずにはいられなくなるのではないか。これからルフィたちと旅を続ける中で、ゾロの優しさが彼の運命にどんな影響をもたらすのか。

■配信情報
Netflixシリーズ『ONE PIECE』シーズン1〜2
独占配信中
出演:イニャキ・ゴドイ(モンキー・D・ルフィ役)、新田真剣佑(ロロノア・ゾロ役)、エミリー・ラッド(ナミ役)、ジェイコブ・ロメロ(ウソップ役)、タズ・スカイラー(サンジ役)、イリア・アイソレリス・ポーリーノ(アルビダ役)、ジェフ・ウォード(バギー役)、マイケル・ドーマン(ゴールド・ロジャー役)、チャリスラ・チャンドラン(ミス・ウェンズデー役)、ダニエル・ラスカー(Mr.9役)、キャムラス・ジョンソン(Mr.5役)、ジャザラ・ジャスリン(ミス・バレンタイン役)、デヴィッド・ダストマルチャン(Mr.3役)、ソフィア・アン・カルーソ(ミス・ゴールデンウィーク役)、レラ・アボヴァ(ミス・オールサンデー役)
シーズン3共同ショーランナー・脚本家・製作総指揮: ジョー・トレイス、イアン・ストークス
シーズン2共同ショーランナー・脚本家・製作総指揮: マット・オーウェンズ、ジョー・トレイス
エグゼクティブ・プロデューサー:尾田栄一郎(原作者)、マーティ・アデルスタイン、ベッキー・クレメンツ(トゥモロー・スタジオ)、藤村哲哉、クリス・シムズ、スティーヴン・マエダ
製作:トゥモロースタジオ、Netflix
©尾田栄一郎/集英社

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる