蓮佛美沙子は“妻役”がうまい 『ばけばけ』『天外者』『ひらやすみ』などで示す存在感

蓮佛美沙子、“妻役”で示す存在感

 そんな演技者である彼女は、今年で俳優生活20周年を迎えた。市川崑監督の『犬神家の一族』(2006年)でデビューを果たし、大林宣彦監督の『転校生 -さよなら あなた-』(2007年)で初主演(奇しくもどちらも巨匠によるセルフリメイク作だ)。以降、数多くの「名作」の誕生に貢献してきた。

『天外者』©︎2020 「五代友厚」製作委員会

 初主演作で学生役を演じていただけに、いまだにあの印象が強く残っている。けれどもあれから20年ほどが経ち、いまでは『ばけばけ』のランのように、誰かの妻を演じることが多くなった。『天外者』(2020年)ではあの五代友厚(三浦春馬)の妻を好演し、俳優の斎藤工が“齊藤工”の名義で手がけたホラー映画『スイート・マイホーム』(2023年)でも主人公(窪田正孝)の妻を演じていた。直近の作品でいえば、「傑作」との呼び声も高い『ひらやすみ』(2025年/NHK総合)もそうだ。蓮佛が演じる野口サキと夫のヒデキ(吉村界人)の何気ないやり取りは、このふたりの関係性と状態を端的に示し、短いシーンながらも作品に奥行きと深さをもたらしていた。

 こうして振り返ってみると、蓮佛が立ち上げてきた“妻像”は多種多様。そしていずれもが、誰かの添え物のような役割に収まることなく、彼女の演じる存在こそがドラマを生み出している(何者かの添え物のようなキャラクターが存在するのは、演じ手ではなく作り手の問題だと念のため付記しておきたい)。

 松田龍平が主演を務める『連続ドラマW 鵜頭川村事件』(2022年/WOWOW)はその最たるものだ。とある村を舞台に、蓮佛が演じる岩森仁美が失踪。夫の岩森明(松田龍平)は彼女を捜す中、この村の暗部に足を踏み入れていくこととなる。まさに、蓮佛がドラマの中心に立っているわけだ。しかも蓮佛は仁美だけでなく、彼女の双子の妹である矢萩有美も一人二役で演じ抜いている。

舞台「ジン・ロック・ライム」蓮佛美沙子コメント

 作品によっては配信で視聴可能だから、ぜひこの機会に触れてみてほしい。そして3月10日からはじまる舞台『ジン・ロック・ライム』で蓮佛が担うのも、ここまで記してきたものの系譜に連なる役どころらしい。これは是が非でも行かねばならない。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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