『チャーリーとチョコレート工場』はなぜ愛され続ける? 毒気と甘みの“絶妙なバランス”

『チャーリーとチョコレート工場』人気の理由

 2月6日、日本テレビ系『金曜ロードショー』で『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)が放送される。翌週2月13日には『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(2023年)も地上波初放送されるとあって、バレンタイン直前の“チョコレート祭り”となる。

 公開から約20年。ティム・バートン監督×ジョニー・デップのタッグで贈られた本作は、繰り返しテレビ放送されるたびに話題になり、この季節の定番作品として認識されつつある。なぜこの映画はこれほどまでに長く愛され続けているのだろうか。

 まず挙げられるのは、圧倒的な映像の力だろう。ティム・バートンが描くチョコレート工場の内部は、チョコレートの川が流れ、砂糖菓子の草原が広がり、本物のパティシエが作ったお菓子のモニュメントが並ぶ。CGを駆使しながらも、リスの調教シーンなど実写の質感を大切にした画作りは、デジタル全盛の現代でも色褪せない。「ダークでホラーチック」と評されることの多いバートン作品だが、本作ではカラフルでファンタジックな世界観が前面に出ている。

 とはいえ、完全に毒が抜けたわけではない。同じ顔のウンパルンパが大量に現れる異様さ、子どもたちが次々と脱落していく容赦のない展開、ウォンカの笑顔に漂うどこか狂気じみた空気。華やかな極彩色の裏側に、そうしたバートンらしい不穏さがしっかりと息づいている。子どもが楽しめる甘さと、大人がニヤリとする毒の塩梅が絶妙で、何度観ても新しい発見がある。

 そしてこの極彩色の世界を案内するのが、ジョニー・デップ演じるウィリー・ウォンカだ。おかっぱ頭にシルクハット、青白い顔に貼り付けた営業スマイル。映画オリジナルの設定として、ウォンカには歯科医の父親との確執という背景が与えられた。厳格な父に反発して家を出た過去、そしてチャーリーとの交流を通じてそのトラウマと向き合っていく展開は、原作にはない要素だ。子どもっぽくチャーミングでありながら、どこか心に傷を抱えている。その複雑さを自然に見せてしまうのがデップの凄みだろう。

 地上波放送で本作を観てきた人にとって、ウォンカの声といえば宮野真守かもしれない。ソフト版の藤原啓治とはまた違う、軽やかでポップなウォンカ像だ。しかしその明るさが、逆にウォンカの底知れなさを引き立てているとも言える。笑顔で子どもたちを見送るあの空気感は、宮野版ならではの不気味さかもしれない。どちらが好みかはファンの間でも意見が分かれるところだが、吹替の違いを味わえるのも、定番作品ならではの楽しみ方だろう。

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