『パンチドランク・ウーマン』に『豊臣兄弟!』も 河内大和が重宝され続ける理由

河内大和が重宝され続ける理由

 ドラマ『VIVANT』(TBS系)でバルカ共和国の外務大臣・ワニズを演じ、一躍注目を集めたのが俳優・河内大和だ。

 本作では、武士のように長い髪を靡かせ、ナイフのように鋭い眼差しを向けるワニズ。その佇まいは、「ただ者ではない曲者」の気配を放ち続けていた。その後、河内は映画『8番出口』にて、地下通路を延々と歩き続ける「歩く男」を怪演して話題を呼んだ。乱れのない歩行リズムは人間味を一切感じさせず、SNSでは「CGではないのか?」と話題になったほどだ。この演技で、河内は第49回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、名実ともに「異彩を放つ俳優」として、広く認知されることとなった。

『豊臣兄弟!』写真提供=NHK

 さらに、2026年1月期は『パンチドランク・ウーマン 脱獄まであと××日』(日本テレビ系)にレギュラー出演しているほか、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では戦国武将・氏家直元役として大河初出演を果たし、。『再会~Silent Truth』(テレビ朝日系)では主人公たちが幼少期に通っていた喫茶店の名物マスターとして異物感を発揮、『DREAM STAGE』(TBS系)第3話では週刊誌記者・風祭役としてゲスト出演と、活躍の幅はますます広がっている。

 本記事では、『VIVANT』や『8番出口』などの代表作の他にも、彼が数々の映画やドラマで「キーマン役」として重宝される理由について紹介していく。

 河内は、ドラマや映画などの映像作品ではサブキャラクターを演じることが多いが、原点は舞台だ。これまで『マクベス』『ハムレット』などシェイクスピア作品の主役を数多く務め、『G.GARAGE///「リチャード三世Richard III」5幕3場独白~終幕』では、孤独なリチャードの独白を不敵な笑みとともに、舞台上で轟かせた。河内の低く響く声には圧倒的な存在感があり、彼1人しかいなくても、まるで周囲に別の人物たちの気配が立ち上がるようにも見えた。

『8番出口』©2025 映画「8番出口」製作委員会

 河内は、鍛え抜かれた体幹の良さも魅力のひとつである。たとえば映画『8番出口』では、背筋をまっすぐに伸ばし、歩幅もリズムも一切乱さず歩き続ける異様な動きを披露した。長時間にわたり、一縷の狂いもなく同じ歩幅とテンポを保ち続けるのは、もはや人間離れともいうべきか。相当な体幹の強さがなければ、到底できない芸当だ。

 河内は、役から生気を完全に消し去るという、俳優にとって奇跡に近い技を平然とやってのけるのも凄みだ。『8番出口』の歩く男が見せた表情は、まるで冷え固まった蝋人形のように覇気がなく、もはや人間というより「二次元の存在」のように見える瞬間すらある。時には口角を横に大きく引き、目じりを落としてぎゅっと笑う仕草を見せるものの、その笑みもどこか貼り付いたようで、やはり生気が感じられない。

 迷いを抱えた主人公「迷う男」(二宮和也)が不安定な表情で彷徨う一方、歩く男は一切動揺せず、ただ淡々と歩き続ける。誰かが立ち止まり迷っている間にも、進む者は着実に前へ進んでいく。

 しかし、歩く男にもかつて「迷っていた人生」があった。本作では、彼が地下鉄で無限ループに陥るまでの過去が中盤で描かれ、無機質だった顔にふと人間らしい表情が差し込む瞬間がある。そのわずかな変化や、時折浮かぶ不自然な笑顔が、むしろ異変として映り、作品全体の不穏で独特な世界観を強めていた。

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