ジェシーの“一人二役”に留まらない魔力 『パンチドランク・ウーマン』でみせる集大成

『パンチドランク』はジェシーの集大成

 誰も信用しないと誓い、心を揺らさず、表情を変えず、規律に従って生きてきた鉄壁の女。それがわずか数カ月後、罪を犯しながらも、愛した男の隣で晴れやかな笑顔を浮かべている。『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』(日本テレビ系)のジェシーには、それほどまでに人を変えてしまえる魔力がある。

 本作は、「真面目で優秀な女性刑務官が、男性受刑者を脱獄させて一緒に逃げた」という海外で起きた実話から着想を得た物語。未決拘禁者や死刑囚を収容する氷川拘置所の女性刑務官・冬木こずえ(篠原涼子)の運命を大きく変える囚人・日下怜治を演じているのが、SixTONESのジェシーだ。

 ジェシーは、ジュニアとAKB48がコラボした2012年放送の『私立バカレア高校』(日本テレビ系)でテレビドラマ初出演を果たした。ジェシーのほか、ジュニアから同作のメインキャストに選抜された6人でSixTONESが結成され、1月22日に誰も欠けることなくデビュー“6”周年を迎えたばかりだ。SixTONESは全員がセンターと言っていいほど、一人ひとりが埋没しないスター性を放っているが、その中でもジェシーは圧倒的な音楽センスとダイナミックかつ繊細なパフォーマンスでグループを高みに導いてきた、いわば“キーマン”。グループの宣伝隊長としての顔も持っており、バラエティでは人を選ばないコミュニケーション能力とアドリブ力で大活躍し、俳優業でも着実に爪痕を残してきた。

 役者としてのジェシーは「この役者といえば、この役柄」というようなタイプキャスト化されておらず、作品によってイメージが流動する。悩みながらもお笑い芸人という夢を目指す等身大の若者を繊細に演じた『最初はパー』(テレビ朝日系)に、東大卒のプライドが高いエリート弁護士を憎みきれないバランスで好演した『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)。『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』で、観ているこちらも心配になるくらい臆病な研修医を演じたかと思えば、映画『お嬢と番犬くん』ではヤクザの孫娘を守る若頭役で大型犬のような安心感と愛らしさを披露した。さらに2023年、2025年と上演されたブロードウェイミュージカル『ビートルジュース』においては主演を担い、奇怪でユーモラスなキャラクターでエンターテイナーとしての実力を遺憾なく発揮している。ここに挙げたのは出演作のごく一部だが、これだけでも役幅の広さは十分に伝わるのではないだろうか。

 今回演じる怜治も、過去にジェシーが演じてきたどの役柄とも似つかない。まず罪状としては強盗殺人で、金を無心に行った先で父・春臣(竹財輝之助)をナイフで殺害。自宅に火を放って逃亡したとされている。拘置所でも常に周りを威嚇し、何をしでかすか分からない物騒な雰囲気を纏っている。それゆえに他の囚人たちから目をつけられ、運動場で怜治に襲いかかる大立ち回りのシーンでは、ジェシーがキレのある身のこなしを見せていた。映画『リボルバー・リリー』や『新空港占拠』(日本テレビ系)でアクションもこなせる俳優であることは織り込み済みだが、改めて本作でその身体能力の高さに驚かされている人も多いのではないか。

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