『ばけばけ』月曜日は“ヘブンマジック”で幕開け 円井わん×濱正悟が第17週の“主役”に

“甘える”という行為は案外難しい。『ばけばけ』(NHK総合)第81話では、甘えられない……というより、甘え方が分からないサワ(円井わん)に少しだけ心情の変化が表れた。
ヘブン(トミー・バストウ)と結婚し、生活水準が変わったこと、意図せず松江の有名人になってしまったことで、サワと気まずい関係になってしまったトキ(髙石あかり)。話をしようとサワの自宅を訪ねるも居留守を使われ、取り付く島もない。

トキが物思いに耽っていると、ヘブンが突如マジックを披露する。ハットに入れた紙が3つ数える間に、トキの帯に瞬間移動。驚きながら紙を開くと、そこには「ダイジョブ」と書かれていた。ようやく笑ったトキを尻目に、ヘブンと司之介(岡部たかし)が顔を見合わせてニヤリ。落ち込むトキを元気づけるため、2人は裏で結託していたのだ。

さらにトキを笑顔にしたのが、なみ(さとうほなみ)の来訪。晴れて夫婦となった福間(ヒロウエノ)を連れて挨拶にやってきたなみは、トキに感謝を告げる。若くして身を売られ、遊郭しか知らずに生きてきたなみ。そこから勇気を持って外の世界へと足を踏み出せたのは、福間が大きな懐で恐怖を受け止めてくれたのもある。しかし、それ以上に新聞を通じて知るトキのシンデレラストーリーに、背中を押されたからだった。
福間に「あんたは哀しい。ここにいる誰よりも」と言われたなみはもうどこにもいない。「めっ……ちゃくちゃ……天国!」と誰よりも多幸感に満ちたなみを見ていると、幸せを掴むのにも勇気が必要ということを思い知らされた。人前にもかかわらず、福間にぴとりと寄り添う素直ななみにトキも刺激させられたのではないだろうか。サワに手紙を出そうとするも、何を書いていいか分からず、「書けん」とヘブンの胸に頭をこてんと乗せるトキ。2人とも、ようやく甘えられる相手を見つけられたのだ。

一方、サワは東京で教師をしていた庄田(濱正悟)の「よかったら教えようか? 勉強」という、ありがたい申し出も即答で断ってしまう。勉強を教わるくらい……と思ってしまうが、彼女の背景を考えると無理もないのかもしれない。幼い頃に父親を亡くし、病弱な母・キヌ(河井青葉)を看病しながら働いてきたサワ。貧しい家に長女として生まれ、家族を養ってきたという点では同じだが、頼りなくも健康で明るい家族に囲まれて育ったトキと、職業柄もあってか、人に甘えることに抵抗がないなみとは状況が異なる。誰に頼ることもできず、辛くても弱音を吐くことすら許されない環境で生きてきたサワが人に甘えられないのは当然のこと。これまで一人で何でもやってきたという自負もあり、いざ助けを求められても手を伸ばせないのだろう。

そんなサワの心情を見抜いてか、「わしの力を利用するくらいのつもりで教わったらどう?」と提案し直す庄田。濱正悟が軽やかな佇まいで、押し付けがましくない優しさを表現している。トキに誰の力も借りずに長屋生活から抜け出すと宣言した手前もあり、意地になっていたサワも乗っかりやすい庄田の提案に心が動く。人に頼ることは、狡いことでも、負けを認めることでもない。庄田との出会いでサワの心が少しでも軽くなり、トキとの関係が改善されることを祈る。かたや、トキがヘブンからもらった『ヘブン先生日録』にサワのことを書いてみてはどうかという提案は吉と出るか、凶と出るか。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK






















