『べらぼう』になぜ“夢中”になったのか 横浜流星ら制作陣に1年間の「ありがた山!」

かくして、明和9年(1772年)、江戸の町を燃やし尽くした明和の大火で幕を開け、寛政9年(1797年)、多くの仲間たちに見守られた蔦重の死をもって幕を閉じた『べらぼう』の物語。そう、最初に「エンターテインメント業界全般に通じるヒントがあるのではないか」と、ややビジネスっぽい言い方で書いたけれど、「エンターテイン」――「もてなす・楽しませる」を名詞化したこの言葉の語源には、「人の心を支え、保ち、満たすもの」という意味があるという。忘れもしない、数年前には「不要不急」の最たるものとされていた「エンターテインメント」。その溜飲を下げることはもちろん、この1年間、『べらぼう』を観ながらつくづく感じたのは、それは「人の心を支え、保ち、満たすもの」であると同時に「人と人をつなぐもの」であるということだった。

誰かと共に熱く夢を語り、それを何か形として共につくり上げる喜びと、それを多くの人たちーーともすれば、時空を超えた人たちと分かち合うことの喜び。そう、素晴らしい作品には、素晴らしい反応がもたらせるとは、まさにこのことで、『べらぼう』本編はもちろん、その各回に対する視聴者の感想から、それについて書かれたさまざまな記事、さらにはイラストに至るまで。例年の大河ドラマ以上に、歴史や文化についての学びが多かったことはもちろん(東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」も楽しかった!)、それらの「二次創作物(という言い方であっているだろうか?)」にも、この1年間、大いに楽しませてもらった。

人と人とのつながりが「何か」を生み出し、その「何か」がまた、さらなる人と人とのつながりを生み出すこと。それ、すなわち「エンターテインメント」――「人の心を支え、保ち、満たすもの」。そのことを、1年間を通じて、改めて感じさせてくれたのが、このドラマだった。恐らく、この言葉を原稿の中で使うのも、これが最後になると思うので敢えて使うけれど――『べらぼう』、1年間、本当に「ありがた山」でございました! みなさま、良いお年を!
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』総集編
NHK総合、BSP4Kにて、12月29日(月)放送
巻之一:12:15〜
巻之二:13:05〜
巻之三:13:48〜
巻之四:14:31〜
巻之五:15:20〜
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、橋本愛、井上祐貴ほか
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
『最終回!ありがた山スペシャル ~パブリックビューイング&トークショー~』
NHK総合、BSP4Kにて、12月29日(月)16:03〜放送
出演:横浜流星、染谷将太、橋本愛、中村蒼、風間俊介、高橋克実、鈴木奈穂子アナウンサー
写真提供=NHK























