羊文学、梅田サイファー、ナナヲアカリ 2025年アニソンを“楽曲”的評価でベスト5総括

2025年アニソン“楽曲”的評価ベスト5

 毎年数多くのアニメ作品が発表され、そのぶんオープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌などのいわゆるアニソンも数多く誕生した。2025年は劇場作品からは『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』の主題歌「TWILIGHT!!!」(King Gnu)や『チェンソーマン レゼ篇』主題歌「IRIS OUT」(米津玄師)、エンディングテーマ「JANE DOE」(米津玄師、宇多田ヒカル)。TVシリーズでは『薬屋のひとりごと』第2期第2クールオープニングテーマ「クスシキ」(Mrs.GREEN APPLE)などが代表的。

 しかしTVアニメは年間200本以上の新作が放送されており、きっと見逃したものも多いはず。本稿では音楽性の高さやアニメとのシンクロ、意外性や中毒性などの観点で5作品の楽曲をピックアップして紹介する。

羊文学「Feel」

『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』ノンクレジットオープニング|羊文学『Feel』|2025年7月4日より毎週金曜24時00分~好評放送・配信中‼

 まず、羊文学が手がけた『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』のオープニングテーマ「Feel」は、“シューゲイザー”という洋楽のジャンルからの影響を強くにおわせ、J-POPの枠を超えたアニソンだと感じた。同作のエンディングテーマ「mild days」は“ネオアコ/ギターポップ”で、どちらも1980年代終盤から1990年代にかけてイギリスを中心にムーブメントを巻き起こした洋楽の音楽ジャンル。そういったテイストを身に纏ったサウンドで、ベテラン洋楽ファンをも唸らせた。

 イギリスと言えば魔女伝説が有名であり、『サイレント・ウィッチ』の舞台となっているリディル王国の情景も、古き良きイギリスの風景と重なる部分がある。曇天に光が差し込むような独特の陰陽を持った羊文学の音楽が、そのバックグラウンドも含めて『サイレント・ウィッチ』の持つ世界観と見事にマッチしていた。また主人公のモニカは極度の人見知りで下ばかり向いているという設定で、それは“シューゲイザー”の語源とも通じていて面白い。

梅田サイファー feat. Cosaqu, KennyDoes, テークエム, peko, KOPERU「FLOOR KILLER」

梅田サイファー – FLOOR KILLER [Official Visualizer] (TVアニメ『グノーシア』新エンディングテーマ)

 梅田サイファーが手がけた、アニメ『グノーシア』エンディングテーマ「FLOOR KILLER」(梅田サイファー feat. Cosaqu, KennyDoes, テークエム, peko, KOPERU)は、異なる個性が集まったメンバー構成がアニメの魅力と見事にマッチしていたと言える。

 『グノーシア』は人狼系ゲームとタイムリープがミックスされた作品で、宇宙船に同乗する乗員たちから情報を引き出して、人狼にあたるグノーシアを見つけ出すというストーリー。宇宙人のような見た目の“しげみち”やシロイルカの“オトメ”など乗員はくせ者揃いで、その個性の豊富さと濃さはまさしく梅田サイファーだ。「FLOOR KILLER」は、メンバーそれぞれがアニメの登場人物を演じるがごとく、代わる代わる声色もフロウも異なるラップが飛び出す。スピード感あふれるビートは物語のスリルをあおり、誰がグノーシアかの考察が止まらなくなる魅力を放っている。ヒップホップグループとしてはchelmicoが担当した『とんでもスキルで異世界放浪メシ2』のエンディングテーマ「SALT AND PEPPER」も温かみがあるほっこりとさせる楽曲で、思わず口に出して歌いたくなるサビの韻踏みが実にクセになる。

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