『ザ・ロイヤルファミリー』は制作自体が“ドラマ”だった 加藤Pが最終回に込めた“継承”

“継承”というテーマに込めたメッセージ

ーー視聴者はドラマでの有馬記念の決着を気にしていると思いますが、最終話の見どころを教えてください。
加藤:視聴者の皆さんはどの馬が勝つかに関心を持ってご覧になる中で、原作を踏襲しつつ、その上を行く答えを僕らは描かなければならない。第1話から最終話の有馬記念を念頭に作り続けてきました。レースの結果はもちろんですが、作品のテーマについても見届けていただければと思います。それと、坂井瑠星騎手とクリストフ・ルメール騎手のスケジュールがうまく組めたのは、なかなかないことだと思うんですよね。坂井騎手、ルメール騎手、高杉真宙さん、市原匠悟さんが同時に騎乗してレースシーンに登場します。おもしろい最後の戦いを観ていただけると思います。
ーー今作の「継承」というテーマに込めたメッセージを教えてください。
加藤:脚本を担当してくださった喜安浩平さんと台本を作っているときに、やっぱり山王耕造というキャラクターが大きくて、耕造の夢が耕一に受け継がれていくんですけど、どういうメッセージが次世代に伝わっていくか、伝えていけるかに気持ちが入っていきました。ドラマの後半は栗須と耕一の物語なんですけど、それと同じくらい耕造と椎名(沢村一樹)と野崎ファームの剛史がすごく重要だと思います。あの3人が言い出さなければ、物語は始まらなかったし、スタートは3人の父親だった。耕造と剛史の夢が合致してホープと出会い、そこからファミリーが誕生する。受け継ぐ側も重要ですが、渡す側がどのような気持ちで継承し、何を託したか。有馬記念のレースが終わったときに、今は亡き耕造も含めて、彼らがどんな思いでやってきて、今どう思っているかを描きたかったんです。父たちの想いは、こういうことだったんだと視聴者の皆さんに届けることを目指してやってきた部分があります。3人の父が残した答えを、視聴者の皆さんに見つけてもらえると嬉しいですね。

ーーSNSでは椎名が耕造に渡した封筒が話題ですが、最終話で伏線回収されますか?
加藤:封筒自体は台本に書いていなくて、演出で付け足したものです。作品のテーマに関わる鍵であり、第1話から積み重ねてきた答えがそこにあります。視聴者の皆さんが驚く秘密があって、勝負を左右する重要なサインなので、ぜひ楽しみにしてください。
ーー早見さんは今作の裏側にもドラマがあったと話しておられました。
加藤:映像化の許諾をいただいてからすぐコロナ禍に入ってしまって中断しました。完成した映像を見て、大人数の役者や馬を考えると、あのとき無理だと判断したのは正しかったと思います。その企画をもう一度やろうと言って、全員で粘って諦めなかった。早見先生と新潮社も、最初に手を挙げた僕らにそのまま映像化権を預けてくださって、託してくださった先生の我慢強さにも感謝しています。JRAにも繰り返しお願いして、皆さんが『ザ・ロイヤルファミリー』の映像化に辛抱強く付き合っていただいた結果だと思っています。僕は高校生のときに、修学旅行で北海道に行ったんです。その頃からこの業界を目指していて、北海道を扱ったドラマや映画の影響で牧場に見学に行ったんです。それが偶然、社台ファームで、原作を読んだとき勝手に運命を感じて、自分がやらなければと思いました。
『ザ・ロイヤルファミリー』の続編がもしあるのならば……

ーーもし続編があるなら、どんな方向性でしょうか?
加藤:現時点で僕の気持ちだけですけど、現場のキャストの皆さんもやりたいとおっしゃってくださっています。撮影チームが出来上がっていて、いつでも対応できますし。ノウハウが蓄積されて、塚原あゆ子監督をはじめ撮影スタッフも次はこうすればもっとうまくいくとか、JRAさんもこういうふうにすれば効果的にできますよという話は出ているんです。具体的な企画があるわけではありませんが、 やってみたいという気持ちはあります。
ーー最後に視聴者にメッセージをお願いします。
加藤:素晴らしい原作をどう映像化すれば、ドラマとして楽しんでもらえるかを準備期間に考えました。第1話で耕造が栗須に言う「先生、夢はあんのか」、継承とは何か、大規模牧場と家族経営のファームの競争、父が子に何を残し、子が何を受け取るかの答えを、最終話のレースで解き明かせるように第1話から構成してきました。視聴者の皆さんには答え合わせをしがら楽しんでいただければと思います。
早見和真の同名小説をドラマ化。税理士としての挫折を味わい希望を見出せなくなってしまった主人公の人生が、馬主である山王耕造との出会いにより大きく動き出していく。
■放送情報
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
※最終回15分拡大SP
出演:妻夫木聡、目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、木場勝己、中川大志、関水渚、市原匠悟、長内映里香、秋山寛貴(ハナコ)、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、佐藤浩市
原作:早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)
脚本:喜安浩平
音楽:横山克
主題歌:玉置浩二「ファンファーレ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
演出:塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
編成:佐久間晃嗣、中野翔貴
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
公式X(旧Twitter):@royalfamily_tbs
公式Instagram:royalfamily_tbs
公式TikTok:@royalfamily_tbs






















