『宇宙刑事ギャバン』が令和に復活！　“戦隊シリーズ”からの変更は何を生み出す？

　令和の時代に『宇宙刑事ギャバン』が復活するというニュースは、特撮ファンのみならず、ヒーロー文化に親しんできた世代にとっても大きな驚きとなった。

　2025年11月24日、テレビ朝日と東映は新たな特撮シリーズブランド「PROJECT R.E.D.」を発表。その第1弾として2026年に放送されるのが『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』だ。「赤いヒーロー」という言葉は、発表直後からSNSで急速に拡散し、多くのファンの関心を集めている。

　PROJECT R.E.D.というブランド名は「Records of Extraordinary Dimensions」の略で、「超次元英雄譚」を意味する。つまり、単なる「赤いヒーロー」の物語ではなく、次元を超えたスケールで描かれる英雄たちの世界を提示するシリーズだ。『ギャバン・インフィニティ』は、1982年から1983年にかけて放送された元祖『宇宙刑事ギャバン』の世界観を尊重しつつも、「インフィニティ」というサブタイトルが示す通り、無限の可能性や複数次元の広がりを持った、新たな宇宙刑事像の提示が期待されている。

　今回、スーパー戦隊シリーズからメタルヒーローシリーズへとバトンが渡された背景には、制作体制や経済的な事情も大きく関わっている。スーパー戦隊は5人編成であるための人件費や、巨大ロボット戦に要する特撮コストがかさむ一方、近年の子どもたちはスマホやゲームによるテレビ離れが進んでおり、玩具の売上も以前ほどは伸びていない。その結果、従来のビジネスモデルを維持することが難しくなったと想像される。こうした現実の課題が、新しいシリーズの創出につながっている側面は否めない。

　だが、これまで「戦隊ヒーロー」だからこそできたことも多かった。その魅力は何といっても「集団ヒーロー」というフォーマットにある。チームワークを重視し、各メンバーが異なる色や個性、能力を持つことで、協力して困難を乗り越える姿は、子どもたちに「仲間と力を合わせることの大切さ」を自然に伝える教育的役割も果たしてきた。また、複数のキャラクターがいることで、子どもたちは自分のお気に入りを見つけやすく、感情移入しやすい構造になっている。

　さらに、戦隊シリーズは巨大ロボット戦を導入し、等身大の戦闘だけでなく、巨大化した敵に対してロボットで立ち向かうスタイルを確立。この巨大ロボットの存在は、子どもたちの心を鷲掴みにした。またシリアス路線からコミカル路線へ、男女の役割分担の変化、敵味方の境界線を曖昧にする設定など、その時代の価値観や流行に合わせてコンセプトを変えることで、常に新しい視聴者を惹きつけ、陳腐化を防いできた。こうした要素が複合的に絡み合い、スーパー戦隊シリーズが日本の特撮史において唯一無二の存在として、確固たる地位を築いてきたことは間違いない。

　一方、メタルヒーローシリーズだからこそできることもある。元祖ギャバンに代表されるように、メタルヒーローは個人ヒーローとしてリアル寄りのデザインやSF色の強い世界観を前面に押し出せるため、より大人の視聴者にも受け入れやすく、ストーリーや演出に幅を持たせやすい。サイバーテクノロジーや宇宙犯罪、AIといった現実世界でも身近になってきた科学要素を取り入れやすく、リアリティとエンターテインメントを両立させることが可能だ。また、個人の活躍に焦点を当てられるため、心理描写や葛藤を丁寧に描くこともできる。

　さらに、スーツアクターによるアクションや特殊効果、最新CGを組み合わせることで、チーム戦が中心の戦隊シリーズでは難しかった、スピード感や緊張感のある戦闘シーンを実現できる。こうした特徴により、メタルヒーローは子ども向け番組にとどまらず、幅広い年代が楽しめる特撮として進化させやすいのだ。『ギャバン・インフィニティ』は、まさにメタルヒーローのこうした利点を活かしつつ、戦隊的な「赤」の象徴性を組み合わせた新時代のヒーロー像として設計されているのだろう。

　ともあれ、PROJECT R.E.D.は複数作品のクロスオーバーを前提としているため、将来的にはメタルヒーローや戦隊、他の特撮ヒーローたちが同じ世界で絡むような展開もありえるだろう。過去の作品を振り返りつつ、新しい赤いヒーローたちの活躍を想像する時間は、ファンにとって特別な楽しみとなりそうだ。

■放送情報
『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』
テレビ朝日系にて、2026年放送スタート 毎週日曜9:30〜10:00放送
©︎テレビ朝日
公式サイト：https://www.tv-asahi.co.jp/RED/gavaninf/
公式X（旧Twitter）：https://x.com/ProjectRED_Toei
公式Instagram：https://www.instagram.com/supersentai_tvasahi/
公式TikTok：https://www.tiktok.com/@superherotime_tvasahi