『べらぼう』“俺たちの蔦重”が戻ってきた! “プロジェクト写楽”までの道のりを再整理

それにしても今回は、おていさんが思わぬ大活躍をみせる回だった。浮かぬ顔で戻ってきた蔦重から話を聞き、ていは「やらぬという道がふさがれておる上は、やるしかございませんでしょう」「この際、蔦屋重三郎らしい、うんとふざけた騒ぎになさってはいかがでしょう?」「しみったれのふんどしの守様から、かかり(資金)をふんだくり、かつてないほど贅沢でふざけた騒ぎを起こすのです。そして、それをもって春町先生の供養となすのは、いかがでしょう?」と提案し、蔦重の背中を強く押すのだった。そこで「源内が書いたとしか思えない新作浄瑠璃を一九に書いてもらい、それを芝居小屋でかけてもらう」画策をする2人だが、蔦重はそこにさらにもうひとひねり加えて、その興行に合わせて「源内が描いたとしか思えない役者絵を売り出す」ことを思いつくのだった。

北尾重政(橋本淳)、北尾政演/山東京伝(古川雄大)、喜三二、南畝、宿屋飯盛(又吉直樹)、唐来三和(山口森広)など、馴染みの絵師・戯作者を集めて、自身が思いついた「お題」を披露する蔦重。以前、「誰もが思わず“関心”を持ち、自らも参加したくなってしまうような『案思(あんじ)』――人々を巻き込み動かしてしまうような「お題」の設定が、今の蔦重にはできていないように思うのだ」と書いたけれど、ここへきてようやく蔦重から、魅力的な「お題」が提示されたのだ。そして、「源内らしい画号は、どんな名前だろう」との問い掛けのもと、喜三二が「『しゃらくさい』ってのは、どうかね?」と思いつく。「この世の楽を写す」――「写楽」の誕生だ!

かくして動き始めた「プロジェクト写楽」だが、肝心の絵柄の設定が、どうにも定まらない。そこで活躍したのは、またしてもていだった。蔦重と袂を分かった喜多川歌麿(染谷将太)のもとを訪れ、再び蔦重のもとに戻ってくるよう、覚悟を決めた説得に打って出るのだった。「私の本音を申せば、見たい……2人の男の業と情、因果の果てに生み出される絵というものを見てみたく存じます」。

そんなていの切なる願いには、さすがの歌麿も心動かさずにはいられなかった。まさしく「最後のワンピース」とも言うべき歌麿の参加によって、いよいよ勢いづく「プロジェクト写楽」。その絵――というか、今日の我々が知る「東洲斎写楽」の絵は、蔦重たちのどのようなやりとりのもとに生まれ、どんな形で世に売り出されてゆくのだろう。そして、それが蔦重たちにもたらすものとは何なのか。いよいよ最終局面に突入した『べらぼう』――その「夢噺」を、胸に去来する万感の思いと共に、大いに楽しもう!
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK





















