人気キャラの共通点は“キューアグ”? 『ちいかわ』などにみる“不憫でかわいい”心理

『ちいかわ』以外の作品でキュートアグレッションを感じさせる作品といえば、イラストレーターの可哀想に!が手掛ける『おぱんちゅうさぎ』が思い浮かぶ。
主人公のおぱんちゅうさぎは、普通に毎日を過ごしているだけでやたらと理不尽な不幸が襲い掛かってくるキャラクター。トイレの行列に並んでいる際、ようやく自分の番が来たと思ったらそこは個室ではなく清掃用具入れで、どんどん順番を抜かされるため仕方なく最後尾に並び直す……という姿などが描かれている。どれだけひどい目に遭ってもくじけず、健気にがんばろうとする姿がかわいそうであり、かわいくもある。
同じく可哀想に!が手掛けている『んぽちゃむ』も、同系統の人気作品。ただし主人公のんぽちゃむは最初こそ不憫だったが、段々“憎たらしさ”が強調されるようになっており、路線が変わっているようにも見える。
そのほか、2021年からテレビ東京系で放送され一大ブームを巻き起こしたストップモーションアニメ『PUI PUI モルカー』も、キュートアグレッション的な消費のされ方だった。
羊毛フェルトで作られたキャラクターはもふもふとしていてかわいらしく、健気ながんばりを応援したくなるのだが、作中では度々悲惨な目に遭わされることに。たとえばシーズン1の第2話では、銀行強盗に銃で脅されて震えながら命令に従うモルカーの姿が描かれ、「かわいそうでかわいい」と話題を呼んでいた。
なぜかわいいキャラがかわいそうな目に遭うと、心が満たされてしまうのか……。その理由をここで紐解くのは難しいが、キュートアグレッション系の作品をまとめて眺めると、深刻な不幸というよりも日常生活のレベルで起きるちょっとした不幸がよく描かれている印象を受ける。それによって受け手の側が、かわいそうな目に遭うキャラクターに強く感情移入し、共感を寄せられる構造になっているのではないだろうか。
すなわちどこか遠くで不幸になるキャラクターを眺めて面白がっているわけではなく、自分と同じような生活を送っているキャラクターをすぐそばで励ますような感覚がここにはあるのかもしれない。
昔と比べて、大きく性質が変わっているファンシーキャラクターたちの世界。次はどんなヒットコンテンツが出てくるのか、注目していきたいところだ。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/11/post-2229146.html
■公開情報
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
2026年夏、全国ロードショー
原作・脚本:ナガノ
監督:及川啓
アニメーション制作:CygamesPictures
製作幹事:QTORY inc.
配給:東宝
©ナガノ / 2026「映画ちいかわ」製作委員会
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